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若い世代に自民党支持者が多い理由 [政治および社会]

2月20日に投稿した「池上彰氏は言う『新聞を読むことは主体的にものを考えるきっかけになる』」の続きです。


2018年6月26日に投稿した「麻生財務相は新聞を読まない?」なる記事には、その前日の朝日新聞と新潟日報の記事が引用されている。どちらもほぼ同じ内容だが、新潟日報に掲載された記事「麻生氏『新聞読まぬ人は自民支持』  新発田市で発言」を、ここに再度引用してみよう。


 麻生太郎副総理兼財務相は24日、新発田市で講演し、昨年の衆院選では30代前半までの若い有権者層で自民党支持率が高かったとした上で、「よく分析すると、一番新聞を読まない世代だ。新聞を読まない人は全部自民党(の支持)だ」と持論を展開した。安倍政権に批判的な記事がある新聞報道への不満を漏らした発言とみられる。麻生派の斎藤洋明衆院議員(比例北信越)の政治資金パーティーで述べた。
  講演で麻生氏は、約900人の出席者に対し「自民党は若い人の票が弱い政党だったが、投票行動が変わってきた」と指摘した。さらに知事選で自民党が支持した花角英世氏が当選した背景にも、若い世代の得票率が高かったことがあるとして、「新聞を取るのに協力なんてしない方がいい。つくづくそう思った」と語った。(引用おわり)


麻生氏が述べているように、数十年前のこの国では、自民党を支持する若者は少なかったと思う。そして今では、麻生氏が言うごとく、新聞を読まない若い世代の自民党支持率は、どうやら確かに高いようである。新聞を読まない若者たちが得る情報は、スマホやパソコンであり、次からつぎへと流されるネットのニュースをながめるだけで、文章の意味するところに思考が及ばない可能性がある。そのような国民が多くなるほど、日本の将来は暗いものとなるはず。新聞を読まないよう勧める麻生馬鹿大臣は、日本という国の将来よりも、自民党を有利にする方を優先させたいらしい。


ネットの世界には、意図的に流される情報やフェイクニュースがある。政権に批判的な記事を遠慮なく掲載する朝日新聞に対しては、執拗に攻撃する記事があとを絶たない。ネットからしか情報を得ようとしない若い世代に自民党支持者が多いのも、このような風潮の中で得られる情報を、深く考えることなく受け取るからではなかろうか。


 2月20日に投稿した記事「池上彰氏は言う『新聞を読むことは主体的にものを考えるきっかけになる』」には、池上氏の言葉「活字に対しては主体的に取り組まないと、実りを得ることができない。新聞を読むことは主体的にものを考えるきっかけになると思います」を引用した。これからの日本を背負うべき若い世代には、主体的にものを考える能力を身につけてもらいたいものである。


数々の独善的な立法、沖縄問題への対応、アメリカの言いなりに費やす莫大な兵器購入費、モリトモ・カケ問題や不正統計問題への異常な対応など、まともな政権とは思えない安倍政権だが、最も支持率が高いのは自民党だという。ネットに流れる情報を見ただけで、世の中のことが解ったつもりになる若者が多くなった結果であろうか、安倍政権が存続し続けているのは。


2020年度からの大学入試は、現在のセンター試験から「大学入学共通テスト」に代わるという。新しいテストは、知識・技能だけでなく、大学入学段階で求められる思考力・判断力・表現力を重視したものになるようである。普段から新聞を読んでいる者に有利な試験となるはずだから、これからは、新聞を読む高校生が増える可能性がある。自民党には好ましからぬことであろうが、日本という国にとっては、歓迎すべき入試改革である。

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池上彰氏は言う「新聞を読むことは主体的にものを考えるきっかけになる」 [教育]

2月17日に投稿した「新聞と書物に親しむ藤井聡太7段」なる記事で、とくに若い世代にとって、新聞や書物に親しむことの価値が大なることを書いた。その記事にタイミングを合わせたかのように、2月19日の朝日新聞に、「新聞を受験・教育の場で」なる池上彰氏へのインタビュー記事が掲載された。


ニュースを読み解き、活用する力を養い、認定するものとして、「ニュース時事能力検定試験」なるものがあるという。31の新聞社と放送局が主催して行われるようである。その試験は年に4回行われ、次回は6月23日だという。その試験を紹介する朝日新聞の記事(2月19日朝刊)の中に、新聞やテレビで活躍している池上彰氏へのインタビュー記事が載っている。その中に次のような池上氏の言葉がある。


《現行の大学入試センター試験に代わる新テストでも、文章を読ませた上で、その中に出てくるグラフや表を使ってさらに考えさせる問いかけがあります。これは新聞を読んでいるとつく力です。
  「今の若い人はインターネットで短い記事しか読まない。長い記事を読む力が急激に弱っている。」という教育現場の問題意識があります。大学で学んだり研究したりするには長い文章を読む力がないと困るという意識があるので、試験の文章が実に長くなったのです。この前も新テストの2回目の試行テストを実施しましたが、解いた人たちは「文章が長くて時間が足りなかった」と言っている。
  しかし今、その力が求められている。普段新聞を読んでいるといくらでも解けます。活字に対しては主体的に取り組まないと、実りを得ることができない。新聞を読むことは主体的にものを考えるきっかけになると思います。》


引用した池上氏の言葉は、2月17日に投稿した本ブログの記事「新聞と書物に親しむ藤井聡太7段」と、主張するところはほぼ同じである。19日に掲載されたインタユー記事は前編であり、次週に後編が載るようである。朝日新聞は全ての図書館が置いているので、多くの人にその記事を読んでもらいたいと願っている。

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新聞と書物に親しむ藤井聡太7段 [教育]

天才少年棋士の藤井聡太7段に関する記事が、しばしば新聞に掲載されるようになって1年以上になる。


かなり以前の朝日新聞に載った対談記事によれば、藤井君は新聞をよく読んでいるとのこと。読んだ記事についても語っていたが、中学生とは思えないレベルの発言であり、新聞読者としてのレベルは並みの大人に勝っていそうに思えた。もしかすると、新聞をまともに読まないらしい麻生財務相より、藤井君の方が知的には勝っているのではないか、と思えるほどである。


記者からの質問に応える中学生時代の藤井君は、「望外の結果」とか「僥倖と言えるような勝ち方」などと、中学生とは思えない言葉を使っていた。国語の授業で得られるレベルを遙かに超えたその言葉遣いは、小学生の頃から読書に親しんでいたからにちがいない。


朝日新聞に載った対談記事によれば、藤井君は小学生の頃から新聞を読んでいるようである。ニュースの入手先も主に新聞だという。テレビやネットから得られる断片的な情報よりも、考えながら受け取ることが可能な新聞を情報源とする藤井君に対して、高齢者の私は賛辞を贈りたい気持になる。馬鹿なネトウヨが増えたのは、テレビやネットからの断片的な情報しか見ない怠け者が増えたからではないのか。藤井君はニュースと将棋に関するもの以外、テレビを見ないというのだから、今どきの若者とは思えない生き方である。多くの人には無理な生き方であろうが、新聞や書物に親しむことは、その気になれば簡単にできることである。


藤井君が小学生時代から新聞や書物に親しんでいたことを知って、このブロブに書いた記事「子供を学習塾に通わせるより読書の楽しみを教える方がよさそうだ(2015」年9月24日投稿)」を思い出した。中学2年生から3年生の頃、私はラジオの勉強に夢中になった。友人から借りた「NHKラジオ技術教科書」に挑戦し、真空管ラジオの動作原理を理解できるに至ったのだが、中学1年生までの私の成績はむしろ悪い方だった。そんな私が「NHKラジオ技術教科書」に挑戦しようという気持になれたのは、偏差値教育に毒されていなかったことと、小学生時代に読書に親しんでいたからではないか。私は成績劣等生から抜け出して、後には大学の工学部に進学するに至ったのだが、そのことを振り返って書いたのが、「子供を学習塾に通わせるより読書の楽しみを教える方がよさそうだ(2015」年9月24日投稿)」と、2015年8月23日に投稿した「成績劣等生から技術者までの道のり(私の体験)」である。


活躍めざましい藤井聡太7段について書き始めたら、新聞と読書を勧める記事になった。じっくりと活字に眼を通すことができず、スマホやパソコンからしか知識や情報を得ない人も多いようである。スマホやパソコンに時間を費やせるのであれば、活字に向かう時間もあるはず。断片的な情報しか得ようとしないのは、忍耐力が足りないからか?。考えながら読むことができない怠惰な者か?。若い世代が新聞や書物から離れるならば、将来の日本は、物事を短絡的にとらえる国民が多い国になりそうである。にも拘わらず、麻生財務相は若者に新聞を読まないよう勧める(2018年6月26日の記事「麻生財務相は新聞を読まない?」参照)。そんな麻生太郎バカ大臣には、すぐにも政治の世界から去るようお勧めしたい。


書いているうちに、自民党の政治家を批判する記事になった。近づきつつある選挙で、投票率が高くなることと、まともな政治家が選ばれることを願っている。

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カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたマツダの車・・・・・・過去10年に3回も [車]

最近はマツダの車をみかけることも多くなったが、以前はあまり売れなかったらしい。ロータリーエンジンを実用化した世界で唯一のメーカーであり、勝れた技術力が認められておりながら、日本の国内には「マツダ地獄」なる偏見に満ちた言葉が流されたりした。そうであろうと、車を識る人たちからは高く評価されてきたようである。過去10年のあいだに3回も日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝き、海外での賞であるワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを、同じく10年間に2回も受賞している。アウディやフォルクスワーゲンなど欧米車を抑えて受賞したマツダ車だが、この国では偏見にさらされていたことになる。


2018年2月24日に投稿した「マツダ地獄が消えてマツダの楽園に」に書いたように、今でも「マツダ地獄」なる言葉を真に受けている者がいる。車を評価するサイトを訪ねてみると、相変わらず「マツダ地獄」を云々する者や、先入観に囚われているとしか思えない記事を書き込む者がいる。その一方で、マツダ車の利用者からは高い評価が寄せられている。かく言う私は高く評価する言葉を受け入れて、ワゴン車からデミオに乗り替えたのだが、充分に満足できる結果になり、間もなく1年目の点検を迎える。


というわけで、近いうちにデミオについての感想を書くつもりである。デミオを購入するまでの経緯を書いたのが、2018年1月30日に投稿した「車の買い換え・・・・・・ワゴン車からデミオへ」である。

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靖国神社と仏壇・・・・・・霊魂の居場所について [人生]

2月3日の朝日新聞連載小説「ひこばえ」に、こんな会話がでてくる。「仏壇はありません。女房の位牌は、息子が持っています。だから私は、女房に手を合わせることができないんです」


霊魂の実在を識っている私は、霊魂が仏壇や墓に居着いていないことを識っている。同様に、戦死者の霊が靖国神社の中に鎮まっていないことも識っている。霊魂の実在を識る人たちも墓や仏壇に向かうことはあろうが、それは霊に心を向ける手段の一つに過ぎず、霊魂が墓や仏壇に居るとは思っていないはずである。そのように考えている私は、小説「造花の香り」(本ブログの左側サイドバーにて概要を紹介)の中に、次のような文章を書いた。特攻隊員として待機中の主人公が、親友に書き遺す言葉の一節である。


小説「造花の香り 第六章 若葉の季節」より引用


  ・・・・・・今日は一緒に出撃する仲間たちと散歩にでかけ、辺りの景色を眺めながら雑談のひとときを過ごした。お前には信じがたいだろうが、仲間の冗談には思わず笑い声が出た。出撃を目前にしていながら、自分でも不思議な程に落ち着いてこれを書いている。
靖国神社を話題にしたとき、出撃に際して交わされる「靖国で会おう」という言葉は、気持を通い合わせるうえでの合言葉の如きものだと仲間が言った。軍とは関わりのない忠之にも理解できると思う。俺の隊にはキリスト教徒がいるのだが、その仲間ですら言うのだ。自分は靖国神社に祀られるつもりは全くないが、出撃に際しては靖国で会おうという言葉を口にするかも知れない。かく言う俺自身の気持を言えば、その言葉を残して出撃することになろうと、神社に留まるつもりは少しもない。神社の中に閉じこもっているより、俺の家族とお前や千鶴の気持にいつでも応えられるよう、宇宙の中で自由に羽ばたいていたいと思う。俺自身は靖国神社を必要としないが、家族にとっては靖国神社が俺の墓標の如き存在になるだろう。俺が英霊として崇敬されていることを確認できる場所にもなるだろう。それは俺の場合に限らないわけだが、キリスト教徒の場合にはどうであろうか。殉国の至情に燃えているその仲間のことを思えば、国に命を捧げた者のための象徴的な墓標は、靖国神社のほかにも必要ではないかと思う。日本人が過去を振り返り、未来を考えるためにも、空襲の犠牲者などをも対象にした、大きな墓標をしっかりと打ち建てるべきではないか。これを記しているうちに、俺はその実現を強く願うに至ったのだが、忠之はどう思うだろうか。(引用おわり)


主人公が特攻隊員になる小説「造花の香り」を書くためには、多くの参考資料に眼を通す必要があった。その結果、特攻隊員のなかには幾人ものキリスト教徒がいたことを知った。神道を受け入れない彼らも、当然のように靖国神社に祀られたわけだが、その遺族たちはそれを受け入れることができないとして訴訟したことがある。そのような事実を知って、小説の終盤に上記のような文章を書くに至った。2017年4月9日の記事「小説の神様に扶けられて書いた小説」に記したように、走る筆に引きずられるままに上記の文章を書いたのだが、ブログを開設してからは、靖国神社や追悼施設についての記事を、繰り返し投稿することになった。その幾つかを以下に列挙しておく。




新聞小説の言葉に触発されて、霊魂が存在する場所について書こうとしたのだが、戦争犠牲者追悼施設に関わる記事を書く結果になった。靖国神社などに関わる上記の記事を、多くのひとに読んでもらえるよう願っている。

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「安倍首相の年頭所感は嘘だらけ。人気ブロガー・きっこが一刀両断」なる記事の紹介 [政治および社会]

「きっこのブログ」で有名なきっこさんは、昨年の12月からメルマガを始めたのだが、1月31日の「きっこのブログ」を覗いてみたら、「きっこのメルマガ」の記事が「MAG2NEWS」で紹介されたことが記されていた。リンクが張ってあるので、MAG2NEWSの記事『安倍首相の年頭所感は嘘だらけ。人気ブロガー・きっこが一刀両断』を読んでみた。


MAG2NEWSに掲載されているのは、「きっこのメルマガ」の記事を抜粋したものらしいが、その記事をここで紹介させてもらうことにした。安倍政権の支持者はこの記事に反発するであろうが、反論はできないはずである。「まぐまぐニュース」なるサイトを訪れたのは初めてだが、興味深い記事が散見されたので、これからはときおり訪ねてみようと思う。


MAG2NEWS の記事「安倍首相の年頭所感は嘘だらけ。人気ブロガー・きっこが一刀両断」の紹介

MAG2NEWS によるまえがき
去る2019年1月1日、7回目となる安倍晋三首相の「年頭所感」発表があったことを覚えていますでしょうか。「今年も嘘八百を並べ立てている」と呆れるのは、人気有名ブログ「きっこのブログ」の著者にして、メルマガ『きっこのメルマガ』を創刊したばかりの「きっこ」さんです。ほんの短い所感の中に、数多くある数字のインチキやごまかしを見抜いたとして、鋭く「ツッコミ」を入れています。「年頭所感」に関するツッコミを、メルマガの記事を一部抜粋した「チョイ見せ」でご紹介します。


大ウソだらけの年頭所感
  2012年12月に現在の第2次安倍政権が発足してから6年が経ち、2019年1月1日、安倍晋三首相は7回目の年頭所感を発表した…とは言っても、どうせ昨年までと同様で、官僚に書かせたものをそのまま発表しただけだけど、だれが書こうが「安倍晋三」の名で全国民に向けて発表された公式リリースなのだから、その内容に関する責任は安倍首相本人に帰属する。
  国会でも記者会見でも世界の首脳が集まる国際会議の場でも、まるで息をするように嘘をつき続ける安倍首相が、新年を迎えて最初に嘘八百を並べ立てるのがこの年頭所感というわけで、あたしは毎年ツッコミを入れて来た。でも、この人の虚言癖はもはや完全に病的なレベルなので、アレもコレもとツッコミを入れていると日が暮れてしまう。そこで今回は、安倍首相の十八番の「自画自賛」が炸裂している次の部分に集約して、新年の初ツッコミを入れてみたいと思う。


  「平成はバブルとともに始まり、経済はその後、長いデフレに突入しました。失われた20年、就職氷河期の到来、未曽有の自然災害。人口が減少する社会は成長できない。『諦め』という名の壁が日本を覆っていました。私たちは、この壁に挑みました。6年が経ち、経済は成長し、若者たちの就職率は過去最高水準です。この春の中小企業の皆さんの賃上げ率は20年間で最高となりました。生産農業所得はこの19年間で最も高くなっています。故郷を想う皆さんの情熱によって、被災地は力強く復興を遂げつつあります。地域の皆さんが磨きをかけた伝統、文化、心のこもったおもてなしによって、外国人観光客数は1千万の壁を突破し、3千万人を超えました。景気回復の温かい風が全国津々浦々に届き始める中で、地方の税収は過去最高となりました」(安倍内閣総理大臣 平成31年 年頭所感より)


  よくもまあ、これだけ次から次へと自分に都合のいい数字だけを羅列して自画自賛できたもんだと感心しちゃうけど、取りあえず順番にツッコミを入れさせてもらうと、まずは「若者たちの就職率は過去最高水準」という部分だね。確かに、2013年から2017年に掛けて新卒の就職率は少しずつ改善されて、高卒も大卒も9割台後半の就職率となり、リーマンショック前の2008年と並ぶほどの水準になった。だから、この点に関しては嘘じゃない。
 でも、その一方で、新卒で就職した若者の多くが、わずか3年以内に離職してしまっているのだ。高卒の場合は4割以上、大卒の場合でも3割以上、せっかく大学を出て就職したのに、3人に1人が3年以内に辞めてしまっている。この割合は、高卒も大卒も民主党政権時より悪化していて、その原因としては「賃金の安さ」「労働時間の長さ」「仕事上のストレス」などの労働環境の悪さと「会社の将来性に対する不安」が挙げられている。
  正規・非正規を問わずに、単に有効求人倍率だけを見ると、今の安倍政権になってから全国ほとんどの地域で「1倍」を超えた。つまり、仕事の内容や賃金などを問わなければ誰でも仕事に就ける状況になった。安倍首相は、この点についても、ことあるごとに「民主党政権時代より大幅に改善した」と自慢する。
  でもこれは、俗にいう3Kの仕事が人手不足になっているだけの話で、今の安倍政権が企業側の要望ばかりを優先して来た結果なのだ。そして、その挙句が「外国人技能実習生」という名の「奴隷」を大量に受け入れて使い捨てしようという人権無視の愚策なのだ。これらは間違っても「アベノミクスによる景気回復」の成果じゃない。労働者の視点を無視した悪政の行き着いた先なのだ。
  その証拠に、2013年から2016年までの4年間で、日本の労働者の非正規雇用は200万人近くも急増したが、正規雇用は80万人近くも激減し、非正規雇用の割合は労働者全体の37.5%と、日本の歴史上で過去最悪になってしまった。これだけ非正規雇用が増えて喜ぶのは、少しでも安く人を雇って好きな時に会社の都合で解雇したい雇用者側であり、あとは人材派遣大手「パソナ」の会長の竹中平蔵ぐらいだろう。こうした悪政による闇の部分にフタをして、表面上の都合のいい数字だけを挙げ、あたかも日本の雇用状況が改善されたかのように喧伝するなんて、愚の骨頂と言うよりも完全に詐欺に当たると思う。
  (中略)


外国人観光客増加の本当の要因
  新年早々、あんまりカッカしたくないので、ここはサクッと次へ行くけど、今度は「地域の皆さんが磨きをかけた伝統、文化、心のこもったおもてなしによって、 外国人観光客数は1千万の壁を突破し、3千万人を超えました」という部分だ。外国人観光客が増えたのはその通りだけど、その要因は「地域の皆さんが磨きをかけた伝統、文化、心のこもったおもてなし」などではない。こんなこといちいち指摘するのもバカバカしいけど、外国人観光客が増えた要因は3つ、「円安」と「LCC」と「ビザの緩和」だ。2010年には1ドル85円だった為替レートが、安倍政権の円安誘導で一時は120円まで進み、現在でも110円前後なのだから、格安のLCCを利用すれば2010年度の半額近い予算で日本に来ることができる。
  その上、外務省は2017年10月に中国人観光客向けに大幅なビザの緩和を行なった。だから、安倍政権は「外国人観光客だ」「インバウンドだ」と連呼しているが、実際に日本に来ている外国人の大半は中国人と韓国人だけなのだ。そして、その目的は「爆買い」だ。銀座に行ってもどこに行っても中国人のグループが大声で騒ぎながら爆買いしているし、今年のお正月も銀座のデパートに並んだ100万円以上の高額の福袋は、ほとんど中国人が買い占めて行った。これが現実なのに、何が「地域の皆さんが磨きをかけた伝統、文化、心のこもったおもてなし」だよ?キレイゴトを並べて「日本は素晴らしい国だ」とアピールするのはネトウヨの専売特許だと思っていたけど、安倍首相も同類だったんだね。


景気回復の温かい風は本当に吹いていますか?
  さて、いよいよ最後のツッコミは「景気回復の温かい風が全国津々浦々に届き始める中で、地方の税収は過去最高となりました」という部分だ。総務省が発表したデータによると、2017年度の地方税収は前年度より5750億円増えて、過去最高だった15年度(40兆4050億円)を上回る40兆9087億円となったから、 これも額面上は嘘じゃない。でも、前半の「景気回復の温かい風が全国津々浦々に届き始める中で」という部分は大嘘だ。それに、地方税収の内訳を見てみると、増えているのは全体の約3割を占める個人住民税で、増えた要因は「株式配当」だ。もちろん、他にも複数の要因はあるけど、日銀がジャブジャブと大金を注ぎ込んで支え続けて来た株価が地方税収を増加させる一因になっていることは紛れもない事実なのだ。
  「虚構の景気回復」を演出するしか能がない安倍政権は、アベノミクスの成果を「株価」でしか示すことができないため、とにかく株価を下落させないために常識を逸脱した買い支えを日銀にやらせて来た。たとえば、去年12月28日の大納会では、2万円割れの状況で年越ししたくないからと、最後の10分間で日銀は703億円も注ぎ込んで株価を1万9000円台から2万円台に戻したのだ。ちなみに、これまでに日銀が買い支えて来たETF(株価指数連動型上場投資信託)は、昨年末までに23兆1165億円で、去年1年間だけでも6兆2100億円も注ぎ込んでいる。
  民主党政権最後の2012年度の日経平均株価は、8000円台半ばから9000円台前半を行ったり来たりしていた。当時と比較すれば現在の2万円超という株価は2倍以上の大幅アップだ。だから安倍首相も年頭所感などで「民主党政権時代より株価は大幅にアップしました」などどドヤ顔で連呼して来た。そして、この株価だけを見れは、日本の景気は回復したかのように感じられる。
  でも、日銀がETFに6兆円注ぎ込めば株価は約3000円上がると言われている。これまで日銀はETFに23兆1165億円も注ぎ込んでいるのだから、6兆円の約4倍、つまり「3000円×4=1万2000円」ということになり、現在の株価から1万2000円を引いたら8000円、民主党政権時代よりも株価は下落してしまうのだ。この事実を知れば分かるように、現在の2万円超の株価は決して日本の経済が成長した結果などではなく、ただ単に日銀が莫大な予算を注ぎ込んで意図的に引き上げた「ヤラセの株価」でしかない。
  ちなみに、これまで日銀が注ぎ込んだ23兆1165億円の株式は、売却すれば約25兆円と試算されているので、約2兆円の含み益がある。つまり、額面上は損はしていないことになる。でも、この株式は売却できないのだ。何故なら、売却した瞬間に株価が大暴落して日本の金融経済がジ・エンドになってしまうからだ。額面上の価値はあるのに、決して売ることのできない資産。現金輸送車を襲って10億円を強奪することに成功したのに、その10億円はお札の番号がすべて控えられていたため、1万円札1枚すら使うことができない。これと同じで、まさに宝の持ち腐れだ。
  もしも去年、日銀が6兆円を注ぎ込まなかったら、昨年末の株価は1万7000円台にまで下落していた。実体経済が横這いのままなのに、株価だけを下落させないように買い支え続けるためには、こうして毎年6兆円ずつ注ぎ込むという自作自演を続けて行かなくてはならない。これが、株価だけは良いが庶民の生活はいつまで経っても良くならない「虚構の景気回復」の仕掛けであり、元旦から大嘘を垂れ流すしか能がない安倍首相の伝家の竹光(たけみつ)「アベノミクス」の正体なのだ。        (引用おわり)


政治に対するきっこさんの論調はするどく、そのブログに注目しているジャーナリストも多いようである。引用した上記の記事に対して、自民党はどのように反論するのだろうか。


モリトモ・カケ問題や公文書の改竄騒動にあけくれた政治に決着が付かないうちに、厚生労働省の調査不正問題が持ち上がっている。2月1日の朝日新聞によれば、正常に調査していたならば、政府が発表したデータとは異なり、昨年の実質賃金は前年より低下しているといい、そのことを厚生労働省も認めているようである。モリトモ・カケ問題に関わる公文書の改竄と同様に、安倍政権擁護のための不正ではないだろうか。一部の経済学者が以前から指摘してきたように、アベノミクスはとうに破綻しているのかも知れない。独善的で欺瞞に満ちた安倍政権を、国民はいつまで許すのだろうか。政権を交代させたなら、政治がしばらく停滞する可能性があるわけだが、そうであろうと、政治風土を変えてより良い国にしてゆくためには、適宜な政権交代が起こり得る国にすべきである。


きょうの記事に関連する記事として、12月21日に投稿した「日本が韓国人から馬鹿にされる日が来る?」を読んでもらえるよう願っている。

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