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国策の過ちによって日本を衰退に導く自民党 [政治および社会]

朝日新聞は「長期政権の磁界」に続いて、「ロスジェネはいま」なる記事の連載を始めた。


きょう(5月26日)の第一回は、「就職氷河期の不運挽回できぬまま」と題され、「不安定雇用 社会全体のリスク」「非正規を転々『国策の犠牲者』」などのサブタイトルがつく文章が記されている。


記事中に「新卒で就職できずに非正規を転々として貧困に陥れば、そこから抜け出す選択肢は少ない。学び直しや職業訓練など、人生をやり直す制度も弱い。就職氷河期世代は、セーフティネットを整備しないまま雇用を流動化させた国策の犠牲者です」なる文章がある。


日本の政府は国策の誤りを繰り返してきた。きわめて重大な過ちを犯した場合であろうと、政府がそれを認め、国民に謝罪することはめずらしい。謝罪した例はあるが、いずれも数十年も経過してからであり、責めを負うべき当事者の多くが世を去ってからである。


格差社会の問題と貧困率の増加は、この国の重大な課題であるが、その問題が顕在化して久しいにもかかわらず、自民党政権は適切な対策を行っていない。いまでは、日本の幸福度ランキングは先進国中で最低になっている。前回の衆議院選挙で安倍晋三は、自党を有利にすべく「国難」を口にしたのだが、アメリカにこびへつらい、膨大な軍事費を費やす前に、真の国難を救うべく手を打つべきである。


憲法無視の立法。カジノ法案のごり押し。外国人労働者受け入れに関する法律の問題。自らの利益のためには公文書も改竄。官僚が政権に忖度する風潮をもたらしたこと。最優先すべき予算をけづって膨大な額の兵器をアメリカから購入。格差社会の拡大と貧困率の増加。安倍政権の歴史的評価は、「日本では珍しいほどの長期政権であったが、劣化した社会をさらに劣化させ、日本をきたない国にする結果になった」となるかも知れない。

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「失言防止マニュアル」を配布された自民党の議員たちも選良か? [政治および社会]

今日の朝日新聞によれば、自民党は5月10日に、すべての国会議員や党職員に「『失言』や『誤解』を防ぐには」なる文書を配布したという。所属議員の失言が続いている 自民党は、近づく選挙を前に引き締めをはかるため、そのような「失言防止マニュアル」を配布したようである。


国会議員は国民を代表する立場にあり、「選良」とも呼ばれる人たちのはずである。政権党である自民党の国会議員であれば、そのことを特に強く意識すべきだろうが、現実には自民党議員の失言があまりにも多い。


所属議員に「失言防止マニュアル」を配布したことに対して、党幹部の一人は言ったという「俺たちはバカですと言っているようなもんだ。あきれて物が言えない」


自党の国会議員に「失言防止マニュアル」を配布するのは、「選良」と呼ばれるべき立場の自覚がないということであろう。「俺たちはバカですと言っているようなもんだ。あきれて物が言えない」と言った党幹部はまともな議員だが、失言を繰り返す首相や元首相をはじめ、自民党にはまともではない議員が多すぎる。


残念ながら、「失言防止マニュアル」を配布するような自民党が政権党である。先進国の中で幸福度ランキングが最低の国にした自民党だが、そんな党に政権を託したのは国民である。とはいえ、衆院選で大勝した自民党の得票数は全体の4分の1であり、国民の多くが自民党を支持していたわけではない。乱立する野党が協力し、自民党に反省を迫る結果をもたらしてほしいものである。


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安倍政権が犯す罪 [政治および社会]

朝日新聞の朝刊に、「長期政権の磁界」なる連載記事が始まった。「忖度の空気 官から社会へ」と題された第一回の記事(5月20日)には、「『菅さんの肝いり』動く官僚」「苦言のち左遷 官邸人事の衝撃」「『中立でない』集会や俳句拒否」「『非常事態すり込み』戻る支持」といった見出しの記事が載っている。連載記事開始の主旨は次にように記されている。「安倍晋三首相が政権に復帰して6年半。権力が放つ強い磁力に吸い付けられるように、首相官邸の意向が霞ヶ関で忖度される構図が強まっている。それが社会に影響を及ぼし、さらに政権基盤を強める「磁界」を形成していく。長期政権がもたらす政治、社会の変容について、夏の参院選を前に考える


官邸側が中央省庁の人事に介入し、官邸の意向に従わない者を左遷するなど冷遇してきたことは、これまでしばしば報道されてきたことである。朝日新聞の上記記事には、菅官房長官による人事介入の例が記されている。


記事中に、<長期政権が続く中でのこうした経緯が、「官邸に言われなくても、意向を推察して霞ヶ関が動く時代になった」(財務相幹部)という状況をつくりだした。・・・・・・・・官邸が霞ヶ関の人事権をちゅうちょなく振るい、長期政権となった今、官僚が率先して官邸の意をくもうとしている。>という文章がある。


「『中立でない』集会や俳句拒否」なる見出しの記事は、このような文章で始まっている。<長期政権という磁力に吸い寄せられ、官僚たちが忖度する空気。社会にも、別の形で徐々に広がっているような事象がある。>


その例として、前川元文科次官が関わる講演会が、「政権批判を繰り返してきた前川氏が前面に出ており、中立ではない」として開催できなくなったことや、金沢市が「特定の政策や意見に賛成する目的の示威行為」として、市庁舎前の広場での護憲集会を許可しなかったことが記されている。秋田県の大学では、卒業式で卒業生代表が述べる謝辞原稿を大学側が事前にチェックし、秋田県に配備される予定のイージスアショアに触れた文章をカットさせたという。


政権交代が繰り返されるどころか、安倍4選なる言葉が聞こえてくる。そうなれば、安倍晋三とそれを取り巻く独善的で狭量な政治家により、この国がますます劣化するだろう。朝日新聞はどこの図書館でも読むことができる。「長期政権の磁界」なる連載記事を、多くの人に読んでもらいたいと願っている。


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日本共産党には自民党より愛国的なところがある? [政治および社会]

共産党に批判的なひとの多くは、共産党員は理想主義者かも知れないけれど、独善的で狭量な人間であり、政権を委ねることのできない政党である、と思っているのかも知れない。共産党が政治をになった国の実情は、独裁政治の悪弊が顕著に表れ、マルクス主義の理想からほど遠いものだった。共産党政権が崩壊したソ連やルーマニアや東ドイツにも、アジアの共産主義国である中国や北朝鮮にも、思想や言論の自由はなく、権力による人権侵害が行われている。共産主義国家のそのような姿も、日本共産党に対する否定的な見方をもたらしていると言えよう。


共産主義国家の問題点が明らかでありながらも、この国では日本共産党がそれなりの存在感を示している。とはいえ、過去の共産党には独善的なところが目立った。当選できる可能性がゼロであろうと、多くの選挙区に候補者を立てて自党の拡大を図り、結果的に自民党を利してきた。日本の共産党も硬直的で独善的だと思っていたが、最近はどうやら少しづつ変わってきたようである。今後の選挙では、幾つもの選挙区で立候補をとりやめ、野党との協調路線をとるらしい。


共産党の天皇制や自衛隊に対する見方も、以前とは変わってきたようである。というわけで、日本共産党のホームページを開き、「日本共産党綱領」なるものに初めて眼を通してみた。


感想を一言で言えば、「共産党がその綱領を真に目指すのであれば、自民党よりはるかに愛国的であり、国民によりそう政治が行われる」ということである。いわゆる共産党アレルギーの人は「共産党が書いた綱領も彼らの戦略であり、信じることはできない」と言うかも知れないのだが、そういう人たちにも日本共産党綱領を読んでもらいたいと思う。自民党政治の問題点を知るうえで大いに参考になるはずである。


自民党政権下の日本には多くの問題がある。極端な対米従属、大企業優先の経済政策、非正規労働者の存在、格差社会を作ったこと、低い労働分配率、憲法を無視したご都合主義の立法、欺瞞政治がもたらす倫理感の低下、・・・・・・・・。日本が少子高齢社会により衰退に向かう原因のひとつは、長年の悪政であろう。


私は共産党をあたまから否定するつもりはないし、共産党アレルギーにもかかっていない。とはいえ、選挙となれば、ひとりでも多くの野党議員を増やし、自民党に反省をせまりたいと思っているので、共産党が当選する可能性のないこの選挙区では、共産党が候補者を擁立しても、それに投票するつもりはない。


ときおり政権が交代する国にした方が、この国の将来のためになるはずである。投資や投機でカネを儲けようとしている人たちは、自民党政治の継続を望んでいるのかも知れないのだが、日本の将来を明るいものにするために、自民党の悪政を罰する側に立ってもらいたいものである。

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野良猫との出会いと付き合い [猫のこと]

まだ寒かった頃のある日、窓の外に小さな猫が現れ、必死に呼びかけるようになった。薄汚れて痩せこけた姿から、何かの事情で飼い主から餌がもらえなくなったらしいと思い、餌をやることにした。


次第に慣れて身体を触らせるほどになったはよいが、一向に我が家を離れようとしない。そんな状況がひと月も続いたので、どうやら野良猫で、飼い主の居ない猫と思われたが、念のためにネットで近隣の迷い猫に関する情報を調べた。世間には結構な数の迷い猫がいるようだが、私の家に来る猫を探している情報はなかった。情報源のひとつにしたのは「おおぶ地域ねこの会」のホームページである。


痩せこけて汚れていた猫は、白に茶色の混じったきれいな色になり、はげていた部分の毛も生えそろってきたし、身体も少しだけ大きくなった。そうこうするうちに、猫が異常な程の食欲を示すようになった。身体が小さいのでまさかと思ったが、妻の勘によれば妊娠していそうだとのこと。そうなればさらに困る事態になると心配していたところ、まる一日ほど姿をみせない日があり、次に現れた時には明らかに体型が変わっていた。妻が言うには子猫を産んだに違いないとのこと。


新たに猫を飼う気はないので、何とかしなければと思い、「おおぶ地域ねこの会」に協力をもとめたところ、わざわざ様子を見にきてくださった。まだ若いやさしそうなその婦人(以後Aさんと呼ぶ)を家に招き入れ、キッチンのドアを明けると、いつものように、その音を聞きつけた猫が10m先のガラクタ(空き家になっている家の軒下に積み上げられたガラクタ)の中から飛び出してきた。


餌にむしゃぶりついている猫の腹をなでたAさんによれば、「乳首の様子から判断すれば、子猫は4匹だと思われます」とのこと。1匹の野良猫だけでも面倒なのに、4匹もの子猫が産まれた。「おおぶ地域ねこの会」で引取先を探してくれるとのことだが、引き取り手が見つかるかどうかのあてはないとのこと。実に困った事態。さて、どうしたものやら。


子猫の離乳時期は3ヶ月後だという。それまでの期間をガラクタの中で過ごせるわけがないだろうと思い、丈夫なダンボール箱をビニールシートで覆い、雨をしのげる安住場所を作った。うまい具合に引っ越してくれるとよいのだが。

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安倍晋三の首相としての資質 [政治および社会]

4月30日に行われた「退位礼正殿の儀」で、安倍晋三首相は「国民代表の辞」を読んだのだが、その最後の部分を、「天皇、皇后両陛下には末永くお健やかであらせられますことを願っていません」と読んだ。


官僚が作成した原文には、「天皇、皇后両陛下には末永くお健やかであらせられますことを願って已みません」と記されていたに違いない。


首相の誤読はネットの世界で話題になっており、「国民代表の辞」を読む場面を動画で見ることができる。安倍首相は「・・・・・・末永くお健やかであらせられますことを願って」まで読むと、「已みません」と読めないために読みよどみ、あらためて「願っていません」と口にしている。


安倍首相は過去にも、「・・・・・・云々」を「・・・・・・でんでん」と読んだり、「・・・・・・の背後に」を「・・・・・・のせごに」と読み間違えたことがあり、かなりの話題になったことがある。いずれの場合も官僚の作文を読み違えたものだろう。首相であろうと誤解や誤読があっても不思議はないが、有力な政治家であれば、ある程度以上の語彙力を持ってほしいものである。


国会の場や公式の場を前にして、下読み時点で確認しておきさえすれば、誤読は防げたはずである。歴史に残る「退位礼正殿の儀」を前にして、しっかり下読みをしていなかったのであれば、怠惰と無責任のそしりを受けるのは当然である。


下読みを確実に行えないほどに怠惰なのか、それとも、下読みをきちんと行えないような態勢になっているのか。いずれにしても、そのような政権には不安をおぼえざるを得ない。複雑な外交問題を、このような首相に任せてよいのだろうか。


ネットでは、安倍首相の誤読を失言としてとらえているが、失言ではなく、無知と怠惰の表れと考えるべきであり、安易に取り消せるものではない。独善的な政治姿勢、安保法制など憲法無視の立法、忖度政治の横行、文書改竄、アベノミクス破綻を隠すための統計の取り方の改変、国民に害をもたらすカジノ法の制定、外国人労働者を奴隷扱いする虞のある立法、党利党略の選挙戦術、自らの頭で考えないで官僚の作文を棒読みする首相。この国の政治家や首相が、官僚による作文に頼らず、自らの思いを口にする日が来るだろうか。


政権政党だから自民党政治家の失言が目立つとはいえ、保守系政治家の失言が多いのは今に始まったことではない。地方選挙区で権力志向を持つ有力者や、世襲でおされた者が候補者となり、当選した議員が多いからではなかろうか。知名度の高さが議員としての適格性を表しているわけではないのだが。


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古い給湯器からエコジョーズに交換 [雑感]

ガス給湯器から少しだが水が漏れるようになった。順調に稼働しているとはいえ、20年あまり使ったものを修復するより、熱効率の良いエコジョーズに替えた方が良さそうだ。というわけで、エコジョーズについて調べてみた。


これまで使ってきたのは、高木産業(現パーパス)の全自動型だが、エコジョーズにはフルオートではなくオート型を選ぶことにした。価格の高いフルオートには、追い焚き配管を自動で洗浄する機能があるが、オート型であっても手動で配管を洗浄することができる。フルオート型固有の機能の幾つかも、手動で簡単にできるものが多い。


メーカーによる品質差は少ないらしく、どのメーカーを選んでも良さそうだったが、リモコンのインターホン機能を重視してリンナイ製を選んだ。浴室側から話しかける際に、押しボタンから手を離していても通話できるという。高齢となった将来に、浴室から助けを求めるような事態となったとき、ボタンを押すことができるとは限らない。


というわけで、リンナイのエコジョーズを設置したのだが、期待していたインターホン機能は残念な結果になった。音質が悪いうえに音量が小さく(最大音量に設定しても)、台所の近くに居ないとよく聞こえない。門と居間をつないでいるテレビ付きのパナソニック製インターホンは、音質と音量ともにすこぶる良好なものだが、リンナイ給湯器のインターホンは、音質と音量に劣るだけでなく使い勝手も悪い。台所側からは通話ボタンを押しながら話すのだが、その間は浴室からの声は聞こえない。浴室側の通話ボタンを押しておきさえすれば、いつでも通話できると思っていたのだが、ボタンを押してから1分を過ぎると、通話できなくなる。リンナイのホームページを参考にして選んだのだが、騙されたような気持になる。


調理にはIHクッキングヒーターを使っているので、ガスは給湯器にしか使っていないのだが、エコジョーズで10%あまり節減できるなら、ガス料金はそれなりに節約できるはずである。どの程度の節減になるのか期待している。


付記
ノーリツのお客様相談室に問い合わせたとき(二ヶ月ほど以前)、浴室からの通話は押しボタンを押しながら話す方式と聞かされていた。きょうの記事を書くに際して、念のためにノーリツのホームページを訪ねてみたら、ハンズフリーで通話可能となっている。ひと月前にもそのページを見たのだが、どうやら見落としたらしい。それとも、ハンズフリーで通話できるようになったのは最近になってからであろうか。ノーリツのお客様相談室に問い合わせた二ヶ月前には、ハンズフリーについての説明は聞かされなかった。

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最低賃金の引き上げが日本を救う [政治および社会]

BS-TBSの番組「報道1930」で、「賃上げこそニッポンの逆風に勝つ成長戦略! 人口減でも豊かさ実現」と題された放送があった(本日5月7日)。私が気づいたときには番組の終盤であり、惜しいことをしたのだが、出演者の発言が印象に残っている。

アメリカでは人に数兆円をかけているのに対して、日本は数千億円でしかない」「日本の会社が利益を内部留保にしていることはあやまりである。この国の現状を打開するには賃金を上げるべきである」


「日本の閉塞状況を打開するためには、最低賃金を上げるべきである」との論評を、これまで幾度も読んだことがある。本ブログには、そのような論評に触発されて書いた記事がある。「日本の幸福度ランキングをあげる政策(2017-03-31投稿)」と「日本が韓国人から馬鹿にされる日が来る?(2018-12-21投稿)」である。


日本が韓国人から馬鹿にされる日が来る?(2018-12-21投稿)」で、菊池英博氏による「このように日本国民の所得を低く抑えて大企業を儲けさせ、その利益は株主配当と役員報酬、内部留保になっており、国民の実質所得の伸びはマイナスである。なぜ日本国民はこうした暴挙を黙認しているのか。フランス国民に馬鹿にされないためには、選挙でこの悪政を変えさせることではないか。奮起せよ日本国民!」なる文章を紹介した。


日本の幸福度ランキングをあげる政策(2017-03-31投稿)」では、慶応大学教授小熊英二氏による、次のような文章を紹介した。


 3月20日(2017年)、国連の幸福度調査ランキングが発表された。日本は155カ国中の51位で、先進国最低のレベルだ。
 確かに日本の社会は問題が山積みだ。経済は停滞し、長時間労働は蔓延し、格差は激しく、少子化も著しい。
 さてそこで今回は、思考実験をしてみたい。山積する問題を、まとめて解決する政策を考えてみた。
 その政策とは、時間給の最低賃金を、正社員の給与水準以上にすることだ。なお派遣や委託その他の、いわゆる「非正規」の働き方への対価も同じように引き上げる。
 ただしこれは、「貧困層の救済」が目的ではない。日本社会を縛っている固定観念を変えることが目的だ。
 「正社員より高いなんて」と思うかもしれない。だが仕事内容が同じなら、正社員の方が高い根拠はない。むしろ非正規は、社会保障や雇用安定の恩恵(コスト)がない場合が多いから、そのぶん高くていいという考え方をしてみよう。
 「非正規の方が高い国などない」という意見もあろう。 しかし日本型の正社員そのものが独特なのだから、改善の仕方も独自の形で思考実験してみよう。 

       

上記の文章に続いて、政策に関わる思考実験とその結果が記されている。その結果は、日本社会が労働を湯水のように安価に使い、人間の尊厳を軽んじていることが、停滞と閉塞感の根底にあることを示しており、最低賃金を大幅に引き上げるだけでも、日本社会が大きく変わることがわかるという。


小熊氏の「労働を買いたたかない国へ」なる記事は、次の文章で締めくくられている。


 あえて言おう。フルタイムで働いても尊厳ある生活ができないレベルの対価で人間の労働が買われている状態は、人権侵害である。人間が尊重されない社会では、経済も成長しない。
  日本はこの25年、「黙々と我慢して働けば成長する」という過去の観念に縛られてきた。だがもはや、そうした固定観念の束縛から逃れるべきだ。


日本を幸福度ランキングの低い閉塞感に満ちた社会に導いたのは、長らく政治を担ってきた自民党である。菊池英博氏は言う、「このように日本国民の所得を低く抑えて大企業を儲けさせ、その利益は株主配当と役員報酬、内部留保になっており、国民の実質所得の伸びはマイナスである。なぜ日本国民はこうした暴挙を黙認しているのか。フランス国民に馬鹿にされないためには、選挙でこの悪政を変えさせることではないか。奮起せよ日本国民!」と。間もなく行われる参院選挙で、自民党に反省を迫る結果となるよう願っている。


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無駄な医療費の節減 [身体と健康]

先月の中頃にカゼをひいた。カゼなら数日で熱が下がるはずだが、めずらしく一週間近くも続いただけでなく、セキが出始めた。というわけで、近所の内科で診てもらったら、カゼだから薬を2種類処方するという。そのひとつは、気管を拡張して痰を出やすくする薬とのこと。


いつものように、私は「カゼなら薬はいりません」と応して薬を断り、そのまま様子を見ることにした。医師は一言「わかりました、薬はやめましょう」と言った。それから数日セキは続いたが、どうにか無事に恢復できた。


4月24日のプレジデント・オンラインに、「日本の医者が"効かない薬"を処方する理由」なる記事がある。筆者は医療経済ジャーナリストの室井一辰氏である。その中に次のような文章がある。


   日本では半世紀以上「国民皆保険」を保ってきました。一般に医療に自由にアクセスできる点は良いのですが、過剰な受診につながりやすく弱みともなってきました。患者の負担が低く抑えられたために、受診のハードルが異常に低く、過剰な医療が生まれやすい土壌につながったのです。
    ・・・・・・・・
    日本では、昭和の時代、社会的入院と呼ばれる必要性が乏しい入院を続ける患者を大発生させたことがありました。1973年から9年間、70歳以上の高齢者の医療費を無料化したことが発端となりました。高齢者の医療や福祉を充実させて、健康な人を増やすだけであればよかったのですが、副作用は大きすぎました。過剰な医療行為が野放しになり、なかでも退院させるべき高齢者を長期にわたって入院させるケースが横行してしまったのです。
     ・・・・・・・・
現実としては、入院を増やすと、医療機関の経営にとってはキャッシュフローが安定します。現金収入が増えれば、当面はつぶれづらくなります。これが平成から令和の時代まで引きずる過剰な入院患者を抱える日本の問題につながりました。・・・・・・・・


上記の記事には、医師が処方する薬には無駄なものが多いことも記されている。薬を必要としないような場合であっても、患者から「あの医者は薬もくれなかった」と不満を抱かれることを懼れて処方する傾向があるらしい。医師側にしてみれば、薬を処方すれば収入が増えることになるが、健保に過分な負担をかけることになる。


高齢化社会にあって、国民健康保険の赤字が問題になっている。処方や処置の必要性を医師に問いかけるなら、無駄な医療費を減らせる可能性がある。私は幾度も薬を断ってきたのだが、薬の必要性を強調し、服用を勧める医師は少なかった。素人である私が不必要ではと思えるような場合だったから、当然の結果だったと言えるのだが、黙って薬を受け取っていたなら、健康保険に無駄な出費をさせていたことになる。全国で処方されている無駄な薬の金額は、膨大と言えるほどの額であろう。


医師に薬を処方されたら、「この薬を使わなければ、どんな結果になるのでしょうか」と聞いてもらいたいものである。必ずしも必要ではなさそうだとわかれば、その薬は断った方がよい。副作用の不安がなくなるだけでなく、健保への負担を軽くすることになる。

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お勧めしたい書物「私たちの国で起きていること」 [政治および社会]

朝日新聞の広告欄に、「私たちの国で起きていること」なる書籍の広告が載っていた。著者である小熊英二慶応大学教授が、朝日新聞の「論壇時評」に投稿してきた記事を収録したものだという。


新聞に掲載された時点で、そのかなりを私は読んでいる。このブログに投稿した記事「日本の幸福度ランキングをあげる政策 」(2017-03-31投稿)は、論壇時評に投稿された小熊氏の記事に触発されて書いたものである。


その新聞広告には、次のような文章が付記されている。


平成とはいかなる時代だったか。行動する社会学者の強靱なる思索


労働を安く買いたたき、人間の尊厳を軽んじていることが、この国の停滞と閉塞感の根底にある。震災と原発事故、自衛隊と憲法、外国人労働者問題、雇用や社会保障の揺らぎ・・・・・・生きやすい社会のために私たちができることとは。「論壇時評」全収録。


このブログの記事「日本の幸福度ランキングをあげる政策(2017-03-31投稿)で紹介した小熊氏の記事には、次のような文章がある。


  確かに日本の社会は問題が山積みだ。経済は停滞し、長時間労働は蔓延し、格差は激しく、少子化も著しい。
  さてそこで今回は、思考実験をしてみたい。山積する問題を、まとめて解決する政策を考えてみた。
  その政策とは、時間給の最低賃金を、正社員の給与水準以上にすることだ。なお派遣や委託その他の、いわゆる「非正規」の働き方への対価も同じように引き上げる。
  ただしこれは、「貧困層の救済」が目的ではない。日本社会を縛っている固定観念を変えることが目的だ。
  「正社員より高いなんて」と思うかもしれない。だが仕事内容が同じなら、正社員の方が高い根拠はない。むしろ非正規は、社会保障や雇用安定の恩恵(コスト)がない場合が多いから、そのぶん高くていいという考え方をしてみよう。
  「非正規の方が高い国などない」という意見もあろう。 しかし日本型の正社員そのものが独特なのだから、改善の仕方も独自の形で思考実験してみよう。・・・・・・・・       


2018年12月21日に投稿した本ブログの記事「日本が韓国人から馬鹿にされる日が来る?」に書いたように、韓国の最低賃金が日本を上回りそうな状況にあるという。多くの国民が小熊氏の主張に注目し、政治の在り様を変えようと考えてほしいものである。


「私たちの国で起きていること」なる書物が、多くの人に読まれるよう願っている。小熊氏が「論壇時評」に投稿された記事の多くに賛同してきた私は、このブログで記事を紹介したことがある。その記事



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