SSブログ

自動車教習所での安全教育 [車]

40年以上も昔のことだが、自動車教習所で学科の授業を受けていたとき、担当の講師は強調したものである。「カーブを走る際の遠心力は、速度が2倍になれば4倍になる。同じ速度であっても、急カーブになると遠心力は強くなる。このことを意識して運転しないと、カーブで曲がりきれずに車線から飛び出して、大きな事故を起こすことになる」


現在の教習所でも、遠心力についての注意がなされているはずである。それにもかかわらず、カーブで対向車線にはみ出したり、道路から飛び出したりして、大きな事故を引き起こす者がおり、新聞やテレビで報じられることになる。


車のバッテリーは12ボルトであり、さほどに高い電圧ではないけれども、極めて大きなエネルギーを蓄えている。うかつにショートさせたら危ないので、バッテリーの脱着手順は厳しく指定されており、教習所でもしっかり教えられるはずである。それにも関わらず、作業手順を守らないことにより、危険な事態を引き起こす人がいる。


40年ほど昔のことだが、勤務していた会社の駐車場で、後輩のひとりが車のボンネットを開けていた。何をしているのだろうと思って近づくと、異様な音を伴って火花が散った。


後輩はバッテリーの交換中だったのだが、マイナス側から外すべきところをまちがえて、プラス側からはずそうとしたために、スパナによってショートさせたのだった。その後輩の頭からは、教習所で教えられた注意事項が抜けていたらしい。古いバッテリーで能力は低下していたと思われるが、スパナが触れてショートしたところは、電流によって鉄が溶けていた。エンジンの始動には適さなくなったバッテリーであろうと、うかつに扱うと危険なほどのエネルギーを蓄えている。バッテリーを保管する場合には、ショートなどによる発火事故を防ぐため、適切な容器に収納するか、端子に保護キャップをつけるなどの処置をする必要がある。


教習所に通ったのは40年以上も昔のことで、当時の記憶はかなり薄れているのだが、講師が受講者に向かって声をあらため、強調した事柄の幾つかは記憶に残っている。その多くは安全に関わるものである。ブレーキの多用によるフェード減少やベーパーロックを防ぐため、長い下り坂などではエンジンブレーキを使うこと、雨中走行時のハイドロプレーニング現象、車速に応じた車間距離をとる必要性、等々。


教習所に通うのは18歳以上の者だから、交通事故に対する意識を持たないはずはないのだが、学科の授業に身の入らない受講者もいるはずである。安全に関わる学科の授業に際しては、実験や動画を採用するなど、印象に残る手段を講じてもらいたいと思う。


40年あまり昔は受講者が多く、くじ引きに当たらないと運転教習が受けられないこともしばしばだった。私の子供たちが免許を取得した20年あまり以前も、まだ受講者が多かったようである。最近の様子はどうかと思って調べてみたら、少子化と若者の自動車離れによる受講者減少が、教習所の経営を圧迫する事態になっているという。地域によっては過当競争となり、教習料金の引き下げやサービスの拡充で競い合う状況にあるらしい。受講者にとっては好ましいこととはいえ、その状況が受講者を甘やかし、事故の増加につながらなければよいのだが。サービス面での向上には努めてもらいたいけれども、学科と運転実技の教習については、昔にまさる厳しさで臨んでほしいものである。


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。