太平洋戦争が歴史上のできごとに思える政治家 [政治および社会]
日露戦争は、私が生まれるわずか30年あまり以前のできごとである。そうであろうと、私にとって、日露戦争は歴史上のできごとであり、歴史の教科書で学ぶ対象だった。
私の父より十歳あまり歳上だった伯父から日露戦争に関わる話を聞いたことがある。日露戦争は伯父が十代の頃の出来事だから、7歳で終戦を迎えた私よりも、戦争は身近なものであったはずである。そんな伯父が身近にいながら、日露戦争は歴史上の出来事としか思えなかった。
昭和20年の敗戦に至るあの戦争が終わってから、すでに80年に近い歳月が過ぎている。人によって受け取り方は異なるであろうが、50代より若い人にとって、あの戦争は歴史上のできごとであり、戦時中の空気を吸った私のような高齢者とはとらえ方が異なっているはず。戦争の記憶を持つ高齢者には戦争を憎む感情があるけれども、戦争を書物で学んだ世代にはその感情が少ないと思われる。
国会議員の多くが戦後世代となり、戦争を知る国会議員は少なくなった。元首相の田中角栄の言葉が思い出される。田中元首相は、新人議員たちを前に語ったという。「戦争を知っている世代が政治の中枢にいるうちは心配ない。平和について議論する必要もない。だが、戦争を知らない世代が政治の中枢となったときはとても危ない」
岸田首相は昭和32年生まれだから戦後世代であり、田中元首相が危惧した政治家のひとりである。岸田政権の防衛計画やアメリカへの対応を思うと、田中角栄の懼れたことが現実になりつつあることを思わせる。立憲民主党などの野党には、統一教会問題や裏金問題に勝る問題として、防衛に関わる問題を取り上げてほしいものである。
付記 田中元首相の言葉を取り上げた記事
・安倍首相を危惧するあの世の田中角栄(2018.1.25)
・田中角栄の言葉を聞かせたい国会議員たち(2019.9.19)
・田中角栄元首相が危惧した戦争の記憶を持たない政治家(2020.3.17)
・安倍首相と比較すれば褒めたくなる田中角栄(2020.4.1)
・田中角栄元首相の言葉を思う(2020.12.3)
2024-04-21 22:18
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