SSブログ

改正入管法は「現代の奴隷制」か? [政治および社会]

12月12日のハーバービジネスオンラインに、「やはりどう考えても改正入管法が「現代の奴隷制」だとしか思えない件」なる記事が掲載された。取材と文責は「選挙ウォッチャーちだい」となっている。

その記事は次のような文章で書き始められている。


 ついに「現代の奴隷制度を認める」法案が強行採決を経て成立してしまいました。そう、改正出入国管理・難民認定法(以下、入管法)です。
   これで自分たちのことを「先進国」だと思っているのですから、ずいぶん恥ずかしいことになっています。どれだけメチャクチャなことをしていても、国民はほとんど政治に関心がないので、昨今の「何でも批判するのは良くない」という風潮から、いつまでも安倍政権の支持率は高い状態にあり、みんなが気づかないうちに、世界ではどんどん恥ずべきポジションに成り下がっています。
  いよいよ日本は「奴隷を作ることに何のためらいもない」という人権の存在しない国になってしまったのです。もともと日本の国会議員の意識が「下々の国民に人権など必要ない」というものになっているため、いつしかこんな日が来るんじゃないかと心配されていましたが、本当にそういう時代が来てしまったので笑えません。
  本来は人の命にも関わる問題なので、しっかり話し合い、とことん議論を煮詰めなければならないのですが、安倍晋三総理がアルゼンチンに外遊に行くスケジュールになっているためなのか、財界からの強い要請があったせいなのか、こんな法案はとっとと通してしまった方がいいということで、データが捏造されていようが、野党がどれだけ反対していようが、国民の過半数が納得していなかろうが、とにかく通すといったら通すということで、今となってはほとんど形式だけになってしまった野党のフィリバスターも虚しく、あっさりと衆議院を可決し、参議院も数の論理であっさり通過してしまいました。
  「こんなに話し合わないなら国会なんて必要ない」と言えるところまで来ています。あまりにも酷いことになっていて、新聞の社説などでは厳しく批判されているのですが、最近は新聞を読む人が減り、多くの人が見るであろうテレビのワイドショーは貴乃花の離婚や宮崎県の一家心中に夢中です。国家的な危機をほとんど報じてくれないのです。
            
改正入管法の問題点と審議のあり方を論じたあとで、外国人技能実習生たちの劣悪な労働環境や、派遣労働の不当性が嘆かれ、日本の将来に対する不安が綴られている。その記事の終盤には次のような文章がある。


  外国人労働者は搾取の温床になっていますが、だからと言って、日本人労働者が搾取の温床になっていないのかと言われたら、そんなことはありません。
 従業員の多くが非正規雇用になり、それなのに責任は社員並み。それどころか「オマエも働く以上はプロなんだから、経営者のような意識を持て!」みたいなことを平気で言ってしまう、脳味噌が何かでやられているとしか思えない経営者がたくさんいるほどです。
   仕事の量は増えるばかりなのに給料が上がらず、そこに安価な賃金で働く外国人労働者が入ってくる。そうすると今度は安価な外国人労働者に比べて日本人が働いていないということになり、日本人まで外国人労働者と同じような賃金で働かされるか、職を失うかの2択になります。
 こんなことにならないように慎重に検討しなければならないのが「入管法」のはずなのですが、安倍政権は現場で働く労働者のことなんて微塵も考えていません。政治家の皆さんが仲良しなのは全員「経営者」なので、上級国民様が儲かるのであれば、これは良い法案ということになるのです。
 ただ、会社というのは労働者がいなければ成り立ちません。賃金が上がらないとモチベーションも上がりません。諸外国ではいかに給料を上げるかが会社の売上を上げるポイントだということに気づき、どんどん給料を上げようという動きになっているのに、日本は世界の潮流と逆を進んでいます。いよいよ韓国の都市部と日本の田舎だったら、韓国の方が時給が高いというところまで来てしまいました。もはや賃金の上で韓国に抜かされ、日本人が高い賃金を求めて韓国に出稼ぎに行く日は、そう遠くない未来になってきているのです。「保守」とか「愛国」とか言っている皆さんこそ、本当にそれでいいのでしょうか。


 引用した文中に、<あまりにも酷いことになっていて、新聞の社説などでは厳しく批判されているのですが、最近は新聞を読む人が減り、多くの人が見るであろうテレビのワイドショーは貴乃花の離婚や宮崎県の一家心中に夢中です。国家的な危機をほとんど報じてくれないのです。>とある。政治問題を取り上げるワイドショーもあるのだが、政権に遠慮しているような感がある。有名人の不倫や離婚を取り上げるより、国民の眼を政治に向けるような番組を放送してもらいたいものである。


ここまで書いたら、自分が書いた小説の文章を思い出した。特攻隊員を主人公にした小説「造花の香り」(本ブログの左サイドバーに概要を記してある)の表紙には、「戦争の時代を生きた青年たちの声が聞こえる。幸せな人生を生きたければ政治を見張れ。我らがごとき悲劇を繰り返すな」なる文章が記されている。政治の過ちは国民を犠牲にする結果を招くが、多くの国民の眼が政治に向けられ続けるならば、政治はより良いものとなるだろう。テレビがそのような役割を果たしてくれるなら、日本の将来に希望が持てるのだが。


付記
法務省が明らかにしたところによれば、過去8年間に死亡した外国人技能実習生は174人に達しているという(12月14日付朝日新聞の記事)。外国人技能実習生が20代から30代であることを思えば、不審死や過労死が疑われるとして、野党は法務省に詳細な経緯の説明を求めているという。自民党やネトウヨは野党の動きを牽制するかも知れないのだが、法務省はしっかりと野党に応えてほしいものである。先進国の名に恥じない美しい日本にしてゆくために、野党にはさらに頑張ってもらいたいものである。

nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。