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既得権なる不思議な権利 [政治および社会]

北野武著「新しい道徳」にこんな文章がある。
[勤勉だの勤労だのが道徳なのは、ほんとうのところ、誰のためなんだろうか。……勤労が道徳なのは、権力者が楽をするための決めごとなのだ。……いつの時代も、権力者は人を働かせたがる。今もそれは変わらない]

そこに記されている「権力者」には、政治権力を持つ者だけでなく、組織の中で力を持つ者や、様々な既得権者も含まれるだろう。


既得権を有する者が、その権利によって不当な利益を得たり、他の者に不当な損害を与えたりしたなら、それを糺すのも政治の役割であろう。「・・・・・・権」と呼ばれるからには法的なものゆえ、不当な既得権は法律によって簡単に糺すことができるはずである。にも拘わらず、問題を指摘されながらも糺されない「既得権」が多いようである。それどころか、法律がそれを擁護していると思われるものがある。北野武の表現を借りるなら、「いつの時代も、既得権者は権利を維持したがる」であり、「法律は既得権者を擁護するために作られることがある」であって、「法律はときとして、権力者が国民を支配するための道具になる」と書けそうである。


新聞の記事によれば、非正規労働者が4割を越えるとのこと。同じような仕事をしていながら、正規社員と派遣社員では賃金などに大きな差があるという。こんなことをしていたら「新しい道徳」を云々する以前に、この国の道徳観念が壊れてしまうのではないか。このような非正常な国を作り上げたのは自民党だが(自らの利益を重視して自民党に投票してきた有権者も同罪)、その自民党は道徳教育にこだわっているようである。自分たちと自分たちを支持する者たちの都合を優先し、非正常で不公平な社会を作りだした政治家たちは、国民にどんな道徳観念を植え付けるつもりだろうか。


格差社会の歪みを無視できなくなったのか、いまの自民党は「同一労働同一賃金」を提唱している。来年の参院選に備えて、自民党は選挙対策としての格差是正を唱えるにちがいない。不平等と格差が大きな社会問題となっているので、矛先をかわすための言葉を駆使すると思われるが、その言葉は掲げられるだけであり、実行に移される可能性はゼロだろう。


タイトルを「既得権なる不思議な権利」としながら、自民党に対する不満を書いて終える結果になった。政治に対する不信と不満が溢れておりながら、くだらない議員が当選し続ける日本。モリトモ・カケ問題やイラク派遣に関わる日報問題など、あってはならない事態を引き起こす一方で、独善的な法案の成立をごり押ししてきた安倍政権。それにもかかわらず、自民党の支持率が高い不思議な日本。


韓国に対して不信と不満を覚える私だが、その国をうらやましく思えることがある。まともではない政治家は政治の場から去らざるを得ない国である韓国。日本もそのようにありたいものだが。

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