SSブログ

最低賃金の引き上げが日本を救う [政治および社会]

BS-TBSの番組「報道1930」で、「賃上げこそニッポンの逆風に勝つ成長戦略! 人口減でも豊かさ実現」と題された放送があった(本日5月7日)。私が気づいたときには番組の終盤であり、惜しいことをしたのだが、出演者の発言が印象に残っている。

アメリカでは人に数兆円をかけているのに対して、日本は数千億円でしかない」「日本の会社が利益を内部留保にしていることはあやまりである。この国の現状を打開するには賃金を上げるべきである」


「日本の閉塞状況を打開するためには、最低賃金を上げるべきである」との論評を、これまで幾度も読んだことがある。本ブログには、そのような論評に触発されて書いた記事がある。「日本の幸福度ランキングをあげる政策(2017-03-31投稿)」と「日本が韓国人から馬鹿にされる日が来る?(2018-12-21投稿)」である。


日本が韓国人から馬鹿にされる日が来る?(2018-12-21投稿)」で、菊池英博氏による「このように日本国民の所得を低く抑えて大企業を儲けさせ、その利益は株主配当と役員報酬、内部留保になっており、国民の実質所得の伸びはマイナスである。なぜ日本国民はこうした暴挙を黙認しているのか。フランス国民に馬鹿にされないためには、選挙でこの悪政を変えさせることではないか。奮起せよ日本国民!」なる文章を紹介した。


日本の幸福度ランキングをあげる政策(2017-03-31投稿)」では、慶応大学教授小熊英二氏による、次のような文章を紹介した。


 3月20日(2017年)、国連の幸福度調査ランキングが発表された。日本は155カ国中の51位で、先進国最低のレベルだ。
 確かに日本の社会は問題が山積みだ。経済は停滞し、長時間労働は蔓延し、格差は激しく、少子化も著しい。
 さてそこで今回は、思考実験をしてみたい。山積する問題を、まとめて解決する政策を考えてみた。
 その政策とは、時間給の最低賃金を、正社員の給与水準以上にすることだ。なお派遣や委託その他の、いわゆる「非正規」の働き方への対価も同じように引き上げる。
 ただしこれは、「貧困層の救済」が目的ではない。日本社会を縛っている固定観念を変えることが目的だ。
 「正社員より高いなんて」と思うかもしれない。だが仕事内容が同じなら、正社員の方が高い根拠はない。むしろ非正規は、社会保障や雇用安定の恩恵(コスト)がない場合が多いから、そのぶん高くていいという考え方をしてみよう。
 「非正規の方が高い国などない」という意見もあろう。 しかし日本型の正社員そのものが独特なのだから、改善の仕方も独自の形で思考実験してみよう。 

       

上記の文章に続いて、政策に関わる思考実験とその結果が記されている。その結果は、日本社会が労働を湯水のように安価に使い、人間の尊厳を軽んじていることが、停滞と閉塞感の根底にあることを示しており、最低賃金を大幅に引き上げるだけでも、日本社会が大きく変わることがわかるという。


小熊氏の「労働を買いたたかない国へ」なる記事は、次の文章で締めくくられている。


 あえて言おう。フルタイムで働いても尊厳ある生活ができないレベルの対価で人間の労働が買われている状態は、人権侵害である。人間が尊重されない社会では、経済も成長しない。
  日本はこの25年、「黙々と我慢して働けば成長する」という過去の観念に縛られてきた。だがもはや、そうした固定観念の束縛から逃れるべきだ。


日本を幸福度ランキングの低い閉塞感に満ちた社会に導いたのは、長らく政治を担ってきた自民党である。菊池英博氏は言う、「このように日本国民の所得を低く抑えて大企業を儲けさせ、その利益は株主配当と役員報酬、内部留保になっており、国民の実質所得の伸びはマイナスである。なぜ日本国民はこうした暴挙を黙認しているのか。フランス国民に馬鹿にされないためには、選挙でこの悪政を変えさせることではないか。奮起せよ日本国民!」と。間もなく行われる参院選挙で、自民党に反省を迫る結果となるよう願っている。


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。