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戦争を憎む感情を伝える憲法 [政治および社会]

 7月9日に投稿した「『きけわだつみの声像』が伝えること」は、このような文章で終わっている。<憲法改正論者は言う「現憲法はアメリカに押しつけられたものである」と。憲法改正の核心は9条だが、その条項を発想して盛り込んだのは日本(幣原喜重郎内閣)だった。戦後間もないその頃、戦後の政治を担うことになった政治家たちは、あの戦争を悔い、戦争を憎む感情を強く抱いていたはずである。時代の推移に伴い、必要であれば憲法も改正されてしかるべきだが、戦争を憎む憲法であり続けてほしいものである。>
                                                   
「時代の推移に伴い、必要であれば憲法も改正されてしかるべきだが、戦争を憎む憲法であり続けてほしいものである。」なる文章を、幾度も本ブログに書いてきたのだが、それよりかなり以前に、小説「造花の香り」(本ブログのサイドバーにて概要を紹介)の中で書いている。
                                                   
「造花の香り」の序章より引用
                                                   
「そんな俺たちは、心の底から戦争を憎んでいるわけだが、将来の日本人どころか、今の若い連中にとっても、あの戦争は歴史上のできごとなんだ。ずいぶん遅くなったが、俺たちがまだ生きているうちに」と忠之は言った。「良太が願った大きな墓標を作らなくちゃな。将来の日本人がいつまでも、反戦と平和を願い続けるうえでの象徴になるわけだから」
「それを眼にするだけで、日本があんな戦争をしたことを思い起こさせますからね。それに」と千鶴が言った。「二度と戦争をしてはいけないという私たちの気持ちを、将来の日本人に伝えてくれますからね。そのように願って作るんですもの」
「いまの憲法には、俺たちのそんな気持ちがこめられていると思うが、憲法がいつか改正されるようなことがあっても、戦争を憎む気持が伝わるようなものにしてほしいよな」
「いつまでも伝えたいわね、戦争を禁止する憲法が公布されたときに感じた、私たちのあの気持を。戦争というものが無くなるようにと祈った、私たちのあの気持を」(引用おわり)
                                                   
「造花の香り」は戦時中の青年たちに関わる物語だが、序章は戦後60年の平成時代に、そして終章は戦後6年に設定されており、どちらにも、上記のごとき憲法に触れる文章がある。
                                                   
引用した文章中の「大きな墓標」は、2020年8月15日に投稿した記事「全国戦没者追悼式に思う」で主張した記念碑(祈念碑)である。
                                                   
安倍元首相は悲願とした憲法改正を果たせなかったが、拙速に改正を押し進めなくて良かったと思う。必要であれば憲法も改正されてしかるべきと思うが、その憲法は、「日本国に戦争を禁じるとともに、その憲法を有する日本に戦争を仕掛けることを、いかなる国に対してもためらわせる憲法」であってほしいものである。そのような憲法を持つ日本を侵略したなら、その国は世界から孤立し、危うい立場に置かれる。そのような憲法であってほしいものである。


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