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間一髪ながら人をはねずにすんだ経験 [人生]

 車で人をはねそうになりながらも、間一髪のところで助かったという経験があります。山梨県の工場に勤務していた頃で、30年あまりも昔のことです。
 いつものように車で工場に向かっていた私の眼に、中学生らしい数人の女の子が見えました。彼女たちは道ばたに立ち、相談でもしているかのように顔を寄せ合っていました。
 女の子たちに近づいたとき、奇妙な予感がやってきました。そのうちのひとりが車の前に飛び出すような気がしたのです。
 50Kmくらいの速度で車を進め、その子たちから10メートルほどに近づいたとき、女の子のひとりが身を翻すようにして、いきなり車の前に飛び出しました。
 気がつくと、私は車を止めていました。目の前で、女の子が車のボンネットに手をついたまま、呆然とこちらを見ていました。私自身も呆然としながら、身体全体にしびれるような感覚を覚えていました。腕を見ると鳥肌がたっていましたから、もしかすると、全身が鳥肌だっていたのかも知れません。
 ほっとする思いで工場に着いた私のところに、後輩のひとりがやって来て、「あんな状況でありながら、よくぞ車を止めたものですね」と言いました。
 その田舎道はゆるやかにカーブしていて見通しもよかったので、私のあとを走っていた後輩には状況がよく見えたそうです。
 目の前にいきなり飛び出されたら、いかにするどい反射神経の持ち主であろうと、無事にことがすむわけがありません。おそらくあのときの私は、無意識ながらブレーキを踏む準備をしていたために、瞬時にペダルを踏み込むことができた、ということでしょう。そのような行動をとらせたあの予感は、いったいどこから来たのでしょうか。その予感は自分の中に生じたというより、誰かによって与えられたのではないか。私にはそうとしか思えず、眼には見えないその誰かに、いまでも感謝せずにはいられないのです。

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