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「永遠のゼロ」の兄弟編 [小説]

 ベストセラー小説「永遠のゼロ」を読んだことは先に書いたが(7月10日)、その中で、物語に引き込まれつつ読んだけれども物足りなさを覚えた、と書いた。主人公たるべき宮部久藏が第三者の立場に置かれ、その心情は伺い知れる程度にしか描かれていないからである。そこで今日のブログを書くに至ったのだが、誤解のないよう最初に断っておきたい。私は「永遠のゼロ」はよく創られていると思っている。当然ながら、作品にケチを付けようなどとはまったく思っていない。
 あの小説を読んで、私はその続編あるいは兄弟編を読みたくなった。というわけで、私なりに次のような物語を考えてみた。「永遠のゼロ」は戦記物語風の小説だが、兄弟編たるこの物語は、久藏が海軍に入る前から始まる恋愛小説である。ここでは便宜上、主人公たちの名前を久藏と松乃にしたが、もしも誰かが実際に書くとすれば、異なる名前を用いることになるだろう。

 工作機械の技術者である久藏は兵役を免除され、婚約者である松乃との将来を夢みつつ、新兵器の開発に携わっている。
 工場に配属されている将校たちの理不尽ともいえる振る舞いや、伝えられる戦況の異様な様が、久藏に強い疑念を抱かせる。日本軍はガダルカナル島から転進したが、実のところは惨憺たる負け戦だったようだ。太平洋のあちこちで日本軍が玉砕していることを思えば、この国が敗北への道を辿りつつあることは疑いようがない。この戦争をこのまま続けてよいのだろうか。
 戦争に対する疑問を口にした久藏は、会社の仲間たちから非国民あつかいされ、駐在している軍人からは苛烈な制裁を受ける。
 工場を解雇された久藏は徴兵検査を受けさせられる。甲種合格となった久藏は、陸軍をさけて海軍を志願する。
 海軍に入った久藏は航空隊に配属される。東京に近い谷田部の航空隊ということもあり、訓練の合間の外出日には、松乃との逢瀬のひとときを楽しめる。
戦況が急迫する昭和20年の春、久藏たちは特攻隊への志願をせまられる。
 特攻隊要員となった久藏は、そのことを隠して松乃との交際を続けるのだが、やがてそれを知られることになる。
 松乃は久藏に結婚をせまるが、松乃の将来を想う久藏にしりぞけられる。そのようなふたりに結ばれる日が訪れ、松乃に束の間の喜びをもたらす。
 久藏は出撃基地への進発を命じられ、一泊だけの外泊許可を得る。松乃と一夜をともにした久藏は、松乃の幸せな人生を願いつつ、南九州の出撃基地へ向かう。
 
これではまるで、 私が書いた「造花の香り」(アマゾンの電子書籍として公開中)の二番煎じと言えそうだが、背景や状況の設定が異なっているので、それなりに面白い作品になり得ると思う。自分で書くとそれこそ二番煎じになり兼ねないゆえ、才能ある誰かに書いてもらえたらと思う。「きょうのブログを読んでくださったあなたは、このような小説を書いて見たいと思いませんか」

 下書を読み直しているうちに、文章を少し追加したくなった。
 小説にたいする好みは人それぞれであり、 「永遠のゼロ」に100パーセント満足するひともあれば、その読書を楽しみながらも、私のように続編あるいは兄弟編を期待するひともあるはず。もしかすると、不満を抱いたひとすらあるのかも知れない。そう思ってアマゾンの書籍カテゴリーを覗いてみると、案の定というべきか、最高の評価から最低のそれまで、じつに様々なクチコミ評価が寄せられている。
 それらの評価にざっと眼を通してみたが、私と類似の不満を抱くひとは見当たらなかった。もしかすると、続編や兄弟編を期待する私は例外的な読者かも知れない。そうであろうと、私はここでもう一度くり返す。「きょうのブログを読んでくださったあなたは、兄弟編あるいは続編のごとき小説を、自分なりに書いて見たいと思いませんか」

 「永遠のゼロ」は百田尚樹氏の処女作である。結果的にはベストセラーになったその作品も、多くの出版社に断られたあと、ようやくにして太田出版社から出版されたとのこと。兄弟編が百田尚樹氏によるものであればともかく、そうでなければ出版は容易ではなさそうである。
 幸いなことに、今は電子書籍として簡単に公開できる時代である。たとえ無名であろうと臆することなく、兄弟編に挑戦し、公開していただきたいものである。そのような小説が公開されたなら、ぜひ読ませていただいて、このブログに感想を書きたいと思う。


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