SSブログ

漱石先生こんにちは  [猫のこと]

 漱石先生こんにちは。先生が飼われていた猫同様に、私もあわれな捨て猫でありましたが、今では立派な名前があって、家族たちからミーコと呼ばれています。
 漱石先生の猫とちがって、サビ色の私は雌猫で、家族の一員としてかわいがられております。今日はこのブログを借りて、そんな私の半生を語らせてもらいます。

  数年まえの9月のはじめ、生まれて間もなく捨てられて、野菜畑の中をうろうろと、母乳を求めて鳴きくらし、これまでかと思いし三日目に、乳の匂いを察知して、近寄り見ればこはいかに、皿いっぱいの牛乳が、夢かのごとくに置かれあり。
  その日からの一週間、皿の牛乳にて命をつなぎ、天の恵みとありがたく、思いしところあに図らんや、恵みは人間様からと知り、畑を出でて家に寄り、窓の前にて餌待ちすれば、皿の牛乳のみならず、柔らかくした煮干しまで、わが目の前に置かれたり。
ひと月ふた月と日が過ぎて、寒くなりはじめた初冬の日、庭に置かれし四角な箱を、ねぐらにせんとて入ってみれば、断熱づくりで防風完備、これはありがたやと我が住処とす。
  人の優しさを思うにつれて、ともに暮らしたいとの気持ちがつのり、勇気をだして家に入れば、たちまちのうちに追い出され、歓迎されざる我が身を知れり。とはいえ家に入りたく、窓の近くの木に登り、ひたすら中を窺うも、望みの叶わぬままに冬が来て、雪がちらつき始めた年末に、ようやく家に導かれ、人間様とその家の、暖かさとありがたみを存分に知る。
 それから幾つも年が過ぎ、私は人間様の上に立ち、あれやこれやと要求し、我が意のままに日を送っている次第。わがままなれども無邪気ゆえ、家族に心ゆくまで愛されて、幸せな日々を送るいま、いつしか私も知らぬ間に、ペットとしての役割を、立派にはたしておりまする。それが私にできる唯一で、貴重な家族への恩返し。猫と生れし命にも、幸運不運はあるめれど、如何なものなりや我が猫生は。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0