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「美しい日本を取り戻す」ではなく「日本を美しい国にしたい」と願う首相を望む [政治および社会]

安倍首相は「美しい日本を取り戻す」と言うが、首相が口にすべきは、「美しい日本を作りたい」という言葉であろう。

「美しい日本を取り戻す」と言うからには、かつての日本には理想的な国があったということになる。安倍首相が取り戻すと言う日本は大昔の日本ではないはずだが、それでは、明治以降の日本に理想国家としての姿があっただろうか。戦後レジームからの脱却を目ざす安倍晋三にとり、戦後の日本は理想からほど遠いようだから、取り戻すべき美しい日本は戦前の姿ということになる。戦前の昭和時代は戦争の時代だから、安倍首相の言う美しい日本は、明治から大正時代のこの国ということになろうか。

戦前の日本には今では考えられないほどの問題点があった。思想や言論の自由がない。不平等社会。婦人参政権なし。男女不平等。極端な格差社会。階級社会。人権意識薄弱。人身売買。封建時代の意識の名残。官尊民卑。不在地主と小作農業。劣悪な労働条件。欧米に劣る工業レベル。GDPに比して巨額な軍事費と、相対的に劣悪なインフラ。
探せば外にも多くの問題点が見つかりそうである。
それにもかかわらず、「美しい日本を取り戻す」と言うからには、何かしらの魂胆があるにちがいない。先にあげた様々な問題点とは異質な部分に、安倍首相の目ざす美点があるというのだろうが、それはいったい何だろう。社会や政治のあり方に関わるものではあり得ないから、安倍首相から見て美しいのは、昔の日本人にあった価値観であろうか。そうだとすれば、そのような首相には即刻やめてもらいたいと思う。

戦前の日本人が有した価値観に在った美点の多くは、現在に引き継がれているはず。失われたものがあるとすれば、それが時代にそぐわないからであろう。一度は失われようとも、社会と国民にとって本当に有用であり、必要なものであるなら、形が多少は変わろうと、復活するにちがいない。政治がとやかくすべき筋合いのものではなかろう。にもかかわらず、安倍首相とその一派は「美しい日本を取り戻す」と言う。その魂胆に気づいている国民も多いはずだが、不思議なことに、安倍内閣は安定状態にある。

「美しい日本を取り戻したい」と言う首相に代わって、「日本を美しい国にしたい」と願う首相が現れるよう願っている。


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