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美しい文字を書きたいとは思えど [雑感]

朝日新聞を開いてまず眼を通すのは、1面下段の「天声人語」です。12月5日の記事はこんな文章で始まっています。「いばることではないが、字の汚さには自信がある。社会人になりたての頃、先輩から『ペン字を習ってこい』と叱られた。習わなかったが。取材相手からメモをのぞかれ、『すごいですね。速記文字ですか』と言われたことがある。急いで書いただけなのだが。パソコン時代になり楽になったが、お礼状を手書きするときなどは気後れする。だから立派な人の字が下手だと、申し訳ないが、ほっとする。」


天声人語の担当記者氏はかなりの悪筆らしい。かく言う私もその仲間ゆえ、天声人語子の気持ちがよくわかります。


12月5日の天声人語は、上記の文章に続いて「博物学の巨人、南方熊楠もなかなかのものだったと最近知った」と記されている。南方熊楠の悪筆ぶりや大江健三郎の癖字を紹介するその記事が、眼にしたことのある司馬遼太郎の文字を思い出させました。有名な作家の読めそうにない文字に、編集担当者の苦労を想ったものです。


もしかすると、悪筆で知られた作家がいるのではないかと思い、ネットで検索してみたところ、面白いサイトがありました。
元文藝春秋編集長岡崎満義氏による、〈文壇こぼれ話〉シリーズの中に、悪筆四天王なるタイトルの記事があります。岡崎氏によれば、最も悪筆は石原慎太郎であり、黒岩重吾、田中小実昌、川上宗薫の4人が悪筆四天王だという。石原慎太郎の悪筆ぶりは他のサイトでも指摘されていますが、井上ひさしや野坂昭如に伊集院静など、多くの作家が悪筆として知られているようです。


今では多くの作家がワープロを利用していることでしょう。石原慎太郎もかなり以前にワープロ派に転じたとのこと。作家に限らず多くの人が、文章を書く利器であるワープロの恩恵を蒙っている時代です。かく言う私も、小説やブログに活用しているだけでなく、今では手紙すらもワープロに頼っています。せめてもの言い訳のように、送信相手と私の名前だけは手書きにしていますが、相手の方はどのように受け止めていることでしょう。封筒などに書かれた手書きの文字から、悪筆を自覚している私の気持ちを察してもらえるとよいのですが。

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