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日本が三流国になる危険性 [政治および社会]

本日3月24日の東洋経済オンラインに、作家であって書評家の印南敦史による、 「日本人は「人口減」で起こる危機を甘く見ている・・・・・・最低賃金を上げ、自ら変わらねばならない 」なる記事が掲載されている。日本在住30年のイギリス人であるデービッド・アトキンソン氏(国宝・重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社社長として、日本文化をサポートしている)の著作 『日本人の勝算』(東洋経済新報社)の書評だが、一読に値する記事である。


 アトキンソン氏はこれまでにも自著を通じて日本の将来を案じてきたが、今回の『日本人の勝算』には、これまで以上の緊張感がみなぎっているように思えるという。


印南敦史による『日本人の勝算』の書評は長いので、東洋経済オンラインの記事を読んでもらいたいのだが、文章の一部をここに引用させてもらうことにした。


『日本人の勝算』のまえがきに、このような文章が記されているという。

  人口減少と高齢化が進む日本には大変厳しい未来が待ち構えています。これは脅しでもなんでもなく、人口動態などのデータを冷静かつ客観的に分析すれば見えてくる、ほぼ確実な日本の未来です。

今すぐにでも対応を始めないと、日本は近い将来、三流先進国に成り下がることは確実です。いや、下手をすると、日本は三流先進国どころか途上国に転落する危険すらあるのです。(引用おわり)


日本国内に蔓延しているのは、「今までの仕組みを微調整して対応すればなんとかなる」というような、その場しのぎの楽観論ばかりであり、10月に予定されている消費税の引き上げについても同じだという。「社会保障の負担が重く、税収を増やさなければいけない。そのためには、税率を上げる必要がある」と説明されているが、アトキンソン氏の目には「固定観念にとらわれた、非常に次元の低い理屈」としか映らないという。日本の消費税の税率が他の先進国に比べて安いのは事実だが、消費税の課税対象となる消費、そしてそれを増やすために不可欠な日本人の所得をいかにして上げるかが、この問題の根本の議論であるべきで、たった2%の税率の引き上げなど、些末な話でしかないという。大きなパラダイムシフトが起きている以上、今までにない、もっと根本的かつ大胆な政策が求められている、とアトキンソン氏は主張しているという。


アトキンソン氏はさらに主張する。
高齢化に伴って社会負担が増える一方で、給料をもらっている世代は激減する。だとすれば、その税負担のために生産年齢人口の給料を増やすことが必須となる。所得増加を実現するには生産性向上が必要条件であり、これが大きな政策転換になるということである。低迷している日本の生産性を上げるには、最低賃金を引き上げるべきである。最低賃金を引き上げたとしても、日本人の実力をもってすればなんの問題も生じないはずである。


アトキンソン氏によれば、最低賃金の引き上げには6つのメリットがあるという。

① 企業規模拡大
② デフレ改善
③ 女性活躍
④ 格差社会の是正
⑤ 最低賃金と地方再生
  国土が狭いうえに交通網が整備されている日本でありながら、最低賃金を都道府県ごとにバラバラに設定したら、労働者は最低賃金の低いところから、最も高い東京に集中してしまって当然で、事実そうなっている。この悪循環から脱却するためにも、最低賃金を全国一律にすることを真剣に検討すべきだとアトキンソン氏は言う。

⑥ 最低賃金引き上げは「少子化対策」にもなりうる

 アトキンソン氏は言う。
日本の社会は厳しく、懸命に仕事をしてももらえる給料は少なく、楽しみもあまりない。そして、老後の生活も不安だらけだ。そんな中、今の社会制度に対する抵抗として子どもをつくらない選択をしている人も相当数いるはず。最低賃金を引き上げ、その最低賃金のすぐ上の層にも段階的な効果が出れば、少子化問題も緩和されるのではないか。


『日本人の勝算』(東洋経済新報社)の書評を書いた印南敦史は、著者に強く賛同しているようである。日本の現状を思えば、そして将来展望の暗さを思えば、多くの人が賛同するのではないか。政治と経済のあり方を変えないと、日本は本当に三流国になるかも知れない。経営者が高額の給料を得ておりながら、従業員の賃金を抑え、非正規従業員を増やしてきた日本。カルロス・ゴーンや孫正義に似た考え方の経営者が多い日本。将来のために望ましい政治が行われない日本。省益を国益に優先する官僚と、自分と自党の利益を優先する政治家。


ときおり政権交代がなされてきたならば、これほどひどい国にはならなかったのではないか。安倍政権に対する支持率は40%だという。支持する理由の第一は「他よりは良さそうだから」だという。安倍政権のどこに「良いところ」があるのだろうか。


東洋経済オンラインの記事「日本人は「人口減」で起こる危機を甘く見ている・・・・・・最低賃金を上げ、自ら変わらねばならない 」を、多くのひとに読んでもらいたいと願っている。

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