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リニア中央新幹線は着工中止か? [政治および社会]

報道されたところによると、2月21日、国土交通省の鉄道局長たちが静岡県を訪れ、リニア中央新幹線の着工に懸念を表明している大井川流域の市町と意見交換会を開いたという。

会合の後、鉄道局長は語ったという。「大井川流域住民の理解がなければ、リニア中央新幹線を着工することはできない」
                                         
2020年7月18日に投稿した「リニア中央新幹線の安全性」で、私はリニア中央新幹線に対する疑問を書いた。その記事をここに再掲してみたい。
                                                   
「リニア中央新幹線の安全性(2020.7.18)」再掲
                                                   
 JR東海が建設しているリニア中央新幹線は、総工費9兆6000億円と見積もられているのだが、それをかなり超過する可能性があるらしい。膨大としか言いようのない建設費を費やして、それに見合う収益が見込めるのだろうか。採算に関わること以上に不安をおぼえるのは安全性である。リニア新幹線の走行速度は、飛行機並の600km/hという。多くの乗客を乗せたリニア新幹線の車両が事故を起こせば、航空機事故より悲惨な事態となるだろう。飛行機は障害物のない空を飛ぶわけだが、リニア新幹線の車両は地上の乗り物である。
 現在のJR東海を支えている収益源は東海道新幹線だが、リニア中央新幹線の利用者が増えたなら、東海道新幹線の利用者は減ることになる。リニア中央新幹線の建設費を回収するためには、リニア中央新幹線の運賃をかなり高く設定せざるを得ないだろうが、そうなれば、従来の新幹線を選ぶ人が増え、リニア中央新幹線の利用者は増えないだろう。大阪あるいはさらに西まで延伸したならば、時間効率の価値は高まるわけだが、その場合には、運賃的に飛行機と競り合うことになろう。いずれにしても、10兆円におよぶ費用を回収するのは難しそうに思える。
 東海道新幹線は50年以上も大きな事故がなかったのだが、危機一髪の事態はあった。東京電力の原発事故では、「想定外の津波」が言い訳にされたが、地上を走る乗り物には、様々な危険因子が想定される。もしも将来のいつの日か、リニア中央新幹線で事故が発生したなら、激減した利用者がふたたび増える事はないだろう、という気がする。そうなれば、リニア新幹線は無用の長物となるだろう。
 リニア新幹線に飛行機以上の安全性が確保されるのであれば、省エネの観点からも、利便性の観点からも、充分に有用な存在になるだろう。福島の原発事故は、安全神話にあぐらをかいた結果であった。リニア新幹線を推進するのであれば、全ての危険因子に対応しておかねばならない。想定外の事故があってはならないのだから。
  
 リニア新幹線が予定通りに開通しても、トンネルの中を走り続けるそれに乗りたいとは思わない。新幹線ならば、車内で書物を読みながら、ときおり窓から景色を眺めることができる。リニア新幹線の着工が中止になって、過分な出費が減少すれば、新幹線の運賃が下げられるかもしれない。私にはその方がありがたいのだが、同意してくださる方も多いのではなかろうか。たとえ国民の多くがそう思っても、建設は押し進められるだろう。それがこの国のあり方なのだから。
                                          
鉄道や経済学にはまったくのシロウトだが、私は上記のように考えている。鉄道局長による「大井川流域住民の理解がなければ、リニア中央新幹線を着工することはできない」という言葉には、もしかすると、静岡県民の声を理由にして、着工中止に導く狙いがあるのではなかろうか。そうだとしたら、あまりにも遅れたとはいえ、喜ばしいことである。



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