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国民の愛国心を損なってきた日本という国 [政治および社会]

  戦災被災者には国による保障がなく、なかでも戦災孤児は、苦しい人生をしいられた。3月11日の朝日新聞夕刊に、昭和20年3月10日の東京大空襲で孤児になった海老名香葉子さん(落語家だった故林家三平の妻)の、戦後の苦労話が記されている。そのような海老名香葉子さんは、今なお正式な遺族として認められていないため、東京都が毎年開く慰霊祭には招待されないという。
 海老名香葉子さんは2005年から、手弁当で「時忘れじの集い」を始め、上野に慰霊碑と母子像を建立し、平和を願い続けてきたという。今年の集いに向けて準備していた海老名さんに、アメリカ大使館のジョセフ・ヤング臨時代理大使から手紙が届いたという。「第2次世界大戦中にお亡くなりになられた方々を厳粛に追悼する機会をいただき、ありがとうございます」
 新聞記事はこの言葉で終わっている。<「国が一言、『苦労をかけましたね』と言ってくれたらどんなに救われることか」と(海老名さんは)残念そうな表情を見せた。>
 政府がその過ちを認めず、国民を見捨てた例は幾つもある。ブラジルなどへの移民が奨励された時期があったが、現地で受けた処遇は、政府が示していた好条件とはほど遠く、移住者は棄民とよばれることがある。空襲で犠牲にされた国民には何らの救済もなされなかった。戦前には満州への移民が奨励されたのだが、移住者たちは敗戦によって極限の痛苦を味わわされた。戦後の日本にあっても、この国は優生保護法なる法律を作って、人権を踏みにじる愚行をなした。「らい予防法」が廃止されたのは、驚くべきことに、1996年になってからである。
 自民党や右翼が愛国心の涵養を重視しているけれども、この国は、国民から愛国心を失わせるがごとき政治を行っている。そのような国が国民に愛国心を求めたならば、そのことに不安をおぼえる国民も多いと思われる。ことに、国民に愛国心を強要した戦前の日本を知る人は。


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