父の歌集より 2 [父の歌集]
27日に投稿した「父の歌集より 1」に続いて、父17歳時の詠歌を紹介します。大正14年(1925年)の秋から年末にかけて詠まれた歌です。
松のかげに雨さけてゐし山の中小さき虹のあらわれにけり
柿の葉の赤々と照る山里の午のしづけさ鷄(にわとり)のなく
清らなる小川の岩にひざつきて山の少女が菜を洗ひをり
はしきやし少女が洗う青き菜の先より落つるましろきしづく
朗けき小春つづけば背戸の梅の日毎日毎にふくらみにけり
葉かくりにほの甘き香を放ちつつ枇杷の白花つひに咲きたり
久にして風やみたれば背戸に出でて吹き荒らされし木々を悲しぶ
屋根の上の雪のとけたるそのしづくほとほと落つも日の輝けば
さつま芋ふかさんとする火をたきて幼き頃の思しみらなり
いろばたに火をたき居れば傍らに眼つぶりて猫あたりをり
一夜ぬるこの山寺のしづけさに谷の瀬音のしきりなりけり
2021-08-31 17:17
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