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父の歌集より 14 [父の歌集]

昭和12年は1月のとんど焼の情景を詠んだ歌から記されています。歌に詠まれた子供たちは父の教え子たちでしょうか。
                                                   
                                                   
  昭和十二年  とんど焼
                                                    
書初を竹にはさみて荷ひつつさざめきつ行く子等の笑ましさ
二つ三つ餅をつなぎてうちふりつ走り行く子もたまたまにあり
雪消水にごり流るる溝川の根芹は芥を被りたりけり
火を放てばしばらくいぶり高々と燃え上りたり雪の河原に
焼落ちてくすぶる中に餅やきてゐる子等もあり雪投ぐる子もあり
左義長の河原いつしかに雪なげの場となりたり餘燼いぶりつ
          左義長(さぎちょう)・・・・・・とんど焼。小正月の火祭り行事
おのづから雪なげとなれば雪投にひた心なる童心のよさ
火も消えぬ雪投げも終りぬ幾群か群作りて子等帰りゆく
                                                   
                                                   
早春に母と結婚した父は、暖かくなった頃、母と連れだって三瓶温泉(志学温泉)に出かけます。
                                                   
枯草の広野明るき頃なれや白頭草も萌え出でにけり
       白頭草・・・・・・オキナグサの別名
白頭草の蕾なでつつ吾妹子の語らふ原に春日あまねし      
水樽の枯葉さやぎてありにけり妻と語らふ春の山辺に
登りきて尾根に息づく妻の肩大きく動くをいとほしみ見つ
吾妹子と唯二人ゐて思ふことなし日は暖に草萌えんとす


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