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小学校を中退していた作家  [雑感]

2月25日の朝日新聞「天声人語」は作家の吉川英治に関わる記事である。その記事はこのように書き始められている。
                                                   
                                          
 吉川英治ほど梅を愛した作家はいまい。路地ごしに見える庭木も、ビルの廊下にある生け花も、どれも好みだった。「春さき、梅の花を、チラホラ見かける頃ほど、平和と、日本の土の香を、感じるときはない」。(『梅ちらほら』)
                                                   
天声人語の記事はつぎの文章で終わっている。
                                                   
 貧しさから小学校を中退した吉川は、作家として名をなす30歳過ぎまで、職を転々とした。人生の辛酸を知り尽くした人であったからか。実の採れなくなった梅の老木を農家が切り倒そうとすると、無念がり引き取っていたという。
                                                   
天声人語の記事で吉川英治が小学校すら中退していたことを知って、小学校しか出ていなかった作家の松本清張と、パナソニック(旧松下電器産業株式会社)創業者である松下幸之助や元首相の田中角栄を思った。彼等が賞賛されるのは、才覚と努力によって人生を切り開いたからだが、さらに言えば、日本が学歴偏重社会だからである。
                                                   
学歴偏重主義のこの国では、経済的な理由で進学できなかった人の多くが、いかに努力しても、恵まれない人生を強いられることになる。その状況を改善すべく、政府は経済的な支援を考えているようだが、それは次善の方策と言うべきだろう。最も望ましいのは、「学歴ではなく能力を尊重する社会」を目指すことであろう。そうなれば、青少年たちのかなりが、受験戦争から解放されて、心身の疲弊に苦しまずにすむと思われる。
                                                   
戦前の日本ではほとんどの国民が、軍国主義を受け入れていたのではなかろうか。いまのこの国では、まともとは思えない政治を行ってきた自民党が、圧倒的に支持され続けている。時の社会状況や風潮に影響されて、洗脳あるいは催眠にかけられたように、現状を受け入れているのだろうか。国民が学歴主義を受け入れているかぎり、この国の青少年たちは心身をすり減らし続けることになろう。


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