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インコの気持ち [小鳥たち]

 娘がインコを飼っていた20年あまり前のことです。そのインコはよく馴れており、家の中を自由に飛び回っていました。
 ある年の夏、私は妻と旅行にでました。娘は会社に出勤しますし、学生である息子はアパート暮らしで、昼間の家で過ごすのはインコだけです。
 旅行を終えて10日ぶりに家に帰ると、インコの振る舞いが変わっていました。妻の肩にとまったまま、離れようとしないのです。そのような状況が翌日まで続きましたが、私の肩には来ませんでした。そのインコに私が嫌われていたからでしょう。
 それまでに、そのインコに対して私はしばしば実験をしていました。紙筒を作ってインコを通り抜けさせたあと、もういちど紙筒に入れ、通り抜ける寸前に前方を塞いで、どのような行動をとるのか観察したり、部屋の明かりを消した場合の反応を見たりなど、インコにとっては迷惑だったであろう実験の数々です。そのようなある日、部屋の中を歩いていた私の足に、いきなりインコが噛みつきました。親指からは血がにじみ、かなりの痛みがありました。不快な実験をする私に対して、インコが怒りの感情を表したのでしょうか。とはいえ、インコが本気で噛めば、その程度ですむはずがありません。インコにしてみれば、軽く噛んだつもりだったのでしょう。
 インコには、孤独のつらさや憎しみの感情など、思いの外に豊かな感情がありそうです。庭にやってくる小鳥たちも、しばしば感情をあらわにします。小鳥にすらそのような感情があるのですから、犬や猫はむろんのこと、牛や豚にも豊かな感情があるはず。ベジタリアンと呼ばれる人たちのなかには、動物たちが見せる喜怒哀楽の感情に心を動かされ、肉食ができなくなったひとがいるのかも知れません。私はさほどに肉を好まないので、牛や豚の肉がなくても苦にはなりませんが、ベジタリアンになれる自信はありません。動物性蛋白源を魚に限ったら?……さて、どうしたものやら。


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