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森友学園問題と自民党の保守派 [政治および社会]

きょう(2月28日)のMSNに、ダイヤモンド・オンラインの記事「森友学園問題に見るスキャンダルが安全保障リスク化する懸念 」(筆者は立命館大学政策科学部教授上久保誠人氏)が載っている。その記事に共感を覚えたので引用させていただくことにした。

森友学園問題に関わるその記事に、「安倍政権・自民党と保守派の不適切な関係を断ち切らせるべきだ」なる項があり、次のような文章がある。

 ・・・・・・一方で、真逆なことをあえて言うのだが、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る問題は、安倍政権・自民党と保守勢力の「不適切な関係」を切る、絶好の機会とすべきだとも考えている。この連載では、「日本の誇りを取り戻したい」とする保守派の様々な主張をそのまま実行すれば、日本は衰退の一途をたどるのではないかと疑問を呈した(第144回)。保守派は日本を滅亡させたいのではないかと思えてならないからである。

 例えば、皇位の継承は「万世一系の男系の男子」という伝統に拘れば、近い将来に皇室は天皇・皇后両陛下のみという事態も容易に想定できる状況だが、保守派は「女性・女系天皇」を徹底的に否定している。保守派の主張は、あまりに「伝統」にだけ拘っていて、本気で「皇室の血統」を守ることには、全くと言っていいほど拘りがないように見える。本当に皇室を守りたいか、非常に疑わしいのだ。

 また、保守派は「家族」に非常に拘っているが、祖父母・夫婦・子どもが同居する「標準家族」が多数を占める社会に、国家が「価値観」を押し付けて戻すことなど、絶対に無理である(第122回・p4)。むしろ、家族形態・価値観の多様化という現実を積極的に認めたほういい。欧米では「シングルマザー・シングルファザー」を認める社会にしたことで、むしろ出生率が上昇し、少子化の克服につながったのだ。

 保守派は日本の歴史に対する認識も正しくないように思う。保守派が考える「国民が1つの方向を向き国家のために進む」という「美しい国・日本」は、日本を衰退させ、破滅に追い込んできた。歴史を振り返れば、権力に逆らって生まれた多様な文化が自由に花開いた時こそ、実は日本の黄金期なのだ。保守派の主張は、日本の文化・伝統を曲解し、日本の本来の強みである自由と多様性を奪って衰退させて、日本人の本当の誇りを失わせているのではないだろうか。

上記の文章に続いて「一国の首相は簡単に攻撃されて安定感を失うようでは務まらない」なる項があり、以下の文章が記されている。

しかし、以前から安倍政権と保守派については、密接な関係が取りざたされてきた。特に、「ポスト安倍」の有力候補とされる稲田防衛相(第138回)の、過去の「非常に保守的な言動」が国会で問題視されてきた。

 防衛相就任前の稲田氏は、雑誌等で「文科省の方に『教育勅語のどこがいけないのか』と聞きました」「子ども手当分を防衛費にそっくり回せば、軍事費の国際水準に近づきます。自分の国を自分で守ることを選ぶのか、子ども手当を選ぶのかという、国民に分かりやすい議論をすべきでしょうね」「日本独自の核保有を単なる議論や精神論ではなく、国家戦略として検討すべきではないか」「靖国神社というのは不戦の誓いをするところではなくて、『祖国に何かあれば後に続きます』と誓うところでないといけないんです」「国民の一人ひとり、みなさん方一人ひとりが、自分の国は自分で守る。そして自分の国を守るためには、血を流す覚悟をしなければならないのです」など、まさに言いたい放題であった。

 稲田防衛相は、国会で蓮舫民進党代表や、辻元清美氏、福島瑞穂氏ら野党の女性議員などから徹底的に追及されると、「防衛大臣として非核三原則をしっかりと守り、唯一の被爆国として核のない世界を、全力をあげて実現するために尽くしていく所存でございます」などと、目に涙を浮かべながら弁明するところまで追い込まれている。

 稲田防衛相が「日本初の女性首相」を目指すならば、過去の極端に保守的な言動を修正しなければならない。首相になるには、国民の幅広い支持を得られて、国内外の「政敵」から簡単に攻撃されて安定感を失うことのない、現実的で柔軟な考え方を持たないとやっていけないからだ。

 それは、「日本会議」  に所属する他の自民党の政治家たちも同じである。彼らは、本来自民党が持っていた、野党の政策も取り込んで自民党の政策にしてしまうような、柔軟性としたたかさを失ってしまっている。「安倍一強」の状況下で隠れているが、自民党は一皮むければ、非常に脆い状態だ。

 その意味で、森友学園を巡るスキャンダルをきっかけに、安倍政権・自民党と保守派の「不適切な関係」を明らかにし、断絶する必要がある。野党は感情的に国民を煽ってはいけないが、理路整然と1つ1つの問題点を徹底的に追及していくことについては、一切容赦すべきではない。

上久保教授による記事は、以下の文章で締めくくられている。

常々不思議に思うのは、なぜ日本では、帝国大学や陸軍大学校を卒業したようなエリートが、「神国日本が負けるわけがない」「神風が吹いて米軍を倒す」などというような「非科学的なもの」を盲信して、米国との明らかに勝算がない戦争を行い、国が滅ぶところまで突き進んで止まらなかったのかということだ。

 しかし、今も「いつか来た道」を再び進みそうな危険性を感じる。非科学的で国を滅亡に導くような保守派の思想が、次第にこの国のエリートにまで広がっているからだ。この国は、とても文化的・経済的な先進国とは思えない、不思議なところがある。

 世界的にみれば、トランプ大統領の登場やフランスでのマリーヌ・ルペン国民戦線党首への支持の上昇など、ポピュリズム・ナショナリズムが広がっている。まるで、ヒトラーやムッソリーニの「ファシズム」が広がった時代を思い起こさせるといえなくもない。しかし、第二次世界大戦前と現代では、全く異なるところもある。それは、民主主義の発展である。

 米国では、トランプ大統領が打ち出した「イスラム7ヵ国からの入国禁止令」に司法が待ったをかけるなど、厳格な「三権分立」によって、大統領の独裁的な権力行使に待ったがかかるケースが出てきている。おそらく、「大統領就任最初の100日」で、トランプ大統領には何ができて、何ができないのか明らかになってくるはずだ(第149回)。

 日本でも、保守派のおかしな考えが安倍政権に影響を与えなくなるように、野党やメディア、そして国民が徹底的に追及していくべきである。よく、ポピュリズム・ナショナリズムが民主主義を破壊したといわれるが、立場が変わり、今後は民主主義がポピュリズム・ナショナリズムの最大の脅威となっていくことになる。21世紀は、第二次世界大戦前とは全く違う民主主義が成熟した時代だということを、示すべきなのである。

幼稚園児に教育勅語の暗唱をしいるような森友学園に、安倍首相は親近感を抱いているらしい。その自民党がやってきたことと、これからやろうとしていることを思えば、「今もいつか来た道を再び進みそうな危険性を感じる。非科学的で国を滅亡に導くような保守派の思想が、次第にこの国のエリートにまで広がっているからだ。この国は、とても文化的・経済的な先進国とは思えない、不思議なところがある。」なる文章に同意せざるを得ない。上久保教授による元の記事を、多くのひとに読んでもらえたらと願っている。


 


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