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中国によるチベット侵略を正当と主張した中国人の言い分 [政治および社会]

二十数年前のある日、勤務していた大学にいた中国人の受託助手に向かって、疑問に思っていたことを口にした。「中国はチベットを自分たちの属領にしている。冷戦時代のもとで中国が行ったこれは、どう考えても明らかな侵略ではないか」


それに対してその受託助手は答えた。「チベットは中国の一部であるからこそ、これから大いに発展できる可能性がある。チベット人にとっても、その方が好ましいことは明らかである」


その堂々とした応え方に、私はいっしゅん思った、もしかしたらそうかも知れない、と。何かの作業をしていた合間の会話だったからであろう、本来ならばその続きを議論すべきだったと思うが、会話はそこで終わったようで、上記の言葉しか記憶に残っていない。


私はむろん今でも、中国はチベットから手を引かねばならないと思っているが、もしかすると、中国人の多くは信じているのかもしれない、「チベットは中国の一部であってこそ恵まれるのだから、中国領であり続けるべきだ」と。温厚で誠実そうだったあの元受託助手も、そんな中国人のひとりだったということになる。中国や北朝鮮にかぎらず、一党による独裁政治が行われている国では、民意も政治によって左右される。そのような国では政府を支持する国民も多いはずで、民意が政治を糺すことはなさそうである。そのような国では、たとえ世界から糾弾されるような状況に置かれても、それが体制を揺るがすことにはなりにくく、民主的な体制への移行もむつかしいだろう。一党独裁ではなかろうと、日本では自民党による一強政治が続いている。それが行き着く先に、本来の民主主義から遠い社会が訪れることがないよう、しっかりと政治を見張っていたいものである。


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