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100年前のスペイン風邪と菅首相のコロナ対応 [政治および社会]

12月9日の朝日新聞のコラム「多事奏論」(筆者は駒野 剛 編集委員)に、「100年前の災厄 世界すら変えたパンデミック」なる記事が掲載されている。記事はこのような言葉で締めくくられている。菅氏は危機に迅速かつ適切に対処してきたと自負した。しかし歴史の経験に学ばない政治は、所詮、傲慢を超えて愚行と言うしかない。この冬の終わりは遠そうだ。」


記事の前半は次のような内容である。



 第一次世界大戦後にパリで行われた講和条約締結会議で、イギリスとフランスはドイツに対する膨大な賠償を求めたのだが(クレマンソー仏首相は、独が二度と立ち上がれないような措置を求め、ロイド・ジョージ英首相も、「独皇帝を絞首刑に、独から賠償を」といった国民感情を背景に会議に臨んでおり、一か月の会談で米仏が鋭く対立したという。)、戦争の怨讐から離れるべきだとして、アメリカのウイルソン大統領は英仏の案に反対したという。そのウイルソンがスペイン風邪に罹患して(第一次世界大戦の終期に発生したスペイン風邪は、一千万人以上の死者をもたらすパンデミックとなった。)会議の場を離れた結果、ドイツに膨大な賠償金支払いを負わせる条約が締結されるに至ったという。

 当時のドイツの国民総所得の約2、5倍という膨大な賠償金が、国民の窮乏を招き、復讐心がナチス台頭のきっかけになったとされている。


記事の後半をここに引用させていただく。


 パンデミックの実相を記した「史上最悪のインフルエンザ」の著者アルフレッド・W・クロスビーは「インフルエンザの被害に遭った人々のうちで最も痛ましい道をたどったのは、『戦争というすべての戦争をなくし、人類を高いモラルを持つ新たなレベルにまで引き上げようとする任務』に自ら着手したこの男であった」と述べ、ウイルソンの悲劇が、その後の第2次世界大戦の悲劇に連なっていくことを静かに暗示する。

 こうした歴史が示す宰相の判断の重さを思うと、前政権も菅義偉首相も危機感が乏しくないか。3ヶ月前、私は当欄で「流行中に『Go To トラベルキャンペーン』を実施した。感染症抑制に逆効果という人の移動を税金を投じ後押しする」と疑問を呈した。事態はどうなったか。

 経済と感染症予防の両立と言うが、感染症は押さえ込まねば流行を繰り返し、その度に経済は混乱する悪循環に陥るだけだ。

 菅氏は危機に迅速かつ適切に対処してきたと自負した。しかし歴史の経験に学ばない政治は、所詮、傲慢を超えて愚行と言うしかない。この冬の終わりは遠そうだ。(引用おわり)


安倍政権と菅政権は憲法を蔑ろにし、それを糾弾する野党の質問にもまともに答えようとしない。歴史に学ぼうとしない独善的な政治に対して、国民からの批判がわき上がってこない。まともに歴史を教えようとすれば、自虐史観として責める者たちが騒ぎたてるのだから、この国の国民は、歴史に学ぼうにも正しく学ぶことができない、と言えそうである。




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