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映画「日本のいちばん長い日」を観て・・・・・・奉安殿があった時代を思う [政治および社会]

3月3日に投稿した「大型テレビの魅力」に書いたように、今年になってから65インチのテレビに買い換えた。VODに対応しているので、ユーチューブや映画などを見ることができる。(テレビにその機能がない場合には、アマゾンで5000円ほどで買えるfireTVstickを付加すれば、VODを楽しむことができる。)(注)


幾つかの映画をみたのだが、そのひとつに「日本のいちばん長い日」がある。先ごろ亡くなられた半藤一利氏の原作に基づいた映画である。
                                                   
国民に敗戦を告げる「玉音放送」が行われたのは、昭和20年8月15日正午からであった。「日本のいちばん長い日」は、その放送が行われるに至るまでの、激動の24時間を描いた映画である。
                                                   
年配者には知る人も多いと思われるが、昭和天皇の声による「玉音放送」は、それを阻もうとした一部陸軍軍人たちによる、執拗な妨害行動ををくぐり抜けてなされた。
                                                   
映画では、ポツダム宣言受諾の可否を論じる御前会議(昭和天皇臨席のもとで行われた会議)の様子や、天皇の意志に逆らってでも徹底抗戦し、本土決戦を目指そうとする陸軍軍人たちの動きを、時間を追って描いている。玉音放送の翌日に起こった出来事を紹介したところで、この映画は終わっている。

                                                   


戦前の日本人にとって、天皇は神の末裔であり、おかすべからざる存在だった。学校には奉安殿があり(私の村の国民学校には、校庭の一画に、コンクリート造りの奉安殿があった)、天皇陛下と皇后陛下の写真が納められていた。
                                                   
ウィキペディア(Wikipedia)の「奉安殿」は、次のように書き始められている。
  奉安殿(ほうあんでん)とは、戦前の日本において、天皇と皇后の写真(御真影)と教育勅語を納めていた建物である。
 ・・・・・・四大節祝賀式典の際には、職員生徒全員で御真影に対しての最敬礼を奉る事と教育勅語の奉読が求められた。また、登下校時や単に前を通過する際にも、職員生徒全てが服装を正してから最敬礼するように定められていた。
 当初は講堂や職員室・校長室内部に奉安所が設けられていた。しかしこの奉安所の場合、校舎火災や地震などによる校舎倒壊の際などに御真影が危険に晒される可能性が高く、また実際に関東大震災や空襲、校舎火災の際に御真影を守ろうとして殉職した校長の話がいくつか美談として伝えられている。このため、さらに万全を期して校舎内部の奉安所は金庫型へ改められ、また独立した「奉安殿」の建築が進められた。前者の校舎一体型は旧制中学などに多く、後者の独立建築型は小学校に多く見られた。
                                                   
戦前の日本ではそのように、天皇の神格化が徹底的になされていたのだが、敗戦を受け入れたくなかった軍人たちの一部は、天皇の意志に背く行動をした。天皇の願いに背いてまでも本土決戦を望んだ彼らは、どんな可能性を信じていたのだろうか。
                                                   
11月27日に投稿した記事「元特攻隊員による戦記『修羅の翼  零戦特攻隊員の心情』を読んでに書いたように、真珠湾攻撃の当日に、日本の必敗を口にした軍人がいた。永井荷風はその日記に、「アメリカに勝てるわけがないのだから、日本にとって望ましいのは早急に日本が負けることだ」と書いた。神国日本が負けるはずがない、と思っている国民がいる一方で、荷風と同様に考えた日本人も少なくはなかったはずである。
                                                     
クーデターを企てたのは、エリート中のエリートだった軍人たちだった。彼らには天皇に背いているという意識はなく、むしろその行動を尽忠に基づくものと思っていたのかもしれない。いずれにしても、戦争が起これば、多くの人が狂気の世界の住人になるということであろう。
                                                   
まともな政治が行われていない情況が続いておりながら、選挙での棄権があまりにも多いこの国である。あの戦争で痛苦と悲しみを味わった人たちのかなりが、戦後80年が近づきつつある今もなお、反戦平和を訴え続けているのだが、その声に耳を傾けている人はどれだけいるのだろうか。
                                                   
注 VOD(動画配信サービス)の視聴
テレビにその機能があっても、インターネットに接続しなければ利用できない。インターネットが利用できる環境ならば、古いテレビであってもHDMI接続端子があれば、アマゾンのFire TV Stickを接続して幾つものVODを利用できる。











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