SSブログ

靖国神社の存在意義 [戦争犠牲者追悼施設]

靖国神社に対しては様々な考え方があり、議論の対象になってきたけれども、以前の私はさほどに関心が無かった。そんな私だったが、小説「造花の香り」(本ブログの左サイドバーにて概要を紹介。小説投稿サイトの「カクヨム」や「小説家になろう」でも自由に読むことができる)を書いたことにより、強い関心を抱くことになった。というわけで、本ブログで幾度も靖国神社をとりあげている。(付記1参照)
                                           
霊魂の実在を知っている私は(付記2参照)、戦死者の霊が靖国神社に居るとは思っていない。そうであろうと、靖国神社には存在価値があると考えている。戦死者とその遺族の思いがこめられた対象だからである。
                                           
特攻隊員の遺書には、「靖国の神になる」「自分に会いたくなったら靖国神社に来てほしい」などの言葉が記されているものがある。その一例として、特攻隊員植村眞久が幼い愛児に遺した遺書を、ここで紹介させてもらいたいと思う。「雲ながるる果てに」など特攻隊員の遺稿集に掲載されたためであろうか、あちこちに引用されている文章である。ユーチューブでは、俳優だった鶴田浩二がこの遺書を涙ながらに読んだあと、「同期の桜」を歌う動画が見られる。(ユーチューブ:同期の桜 鶴田浩二 涙の遺書朗読)
                                           
特攻隊員植村眞久の愛児への遺書
  
  素子
  素子は私の顔をよく見て笑ひましたよ。私の腕の中で眠りもしたし、またお風呂に入つたこともありました。
  素子が大きくなつて私のことが知りたい時は、お前のお母さん、住代伯母様に私の事をよくお聴きなさい。私の写真帳も、お前の為に家に残して在ります。
  素子といふ名前は私がつけたのです。
  素直な心のやさしい、思ひやりの深い人になるやうにと思つて、お父様が考へたのです。
  私はお前が大きくなつて、立派な花嫁さんになつて、仕合せになつたのをみとどけたいのですが、 若しお前が私を見知らぬまゝ死んでしまつても決して悲しんではなりません。
  お前が大きくなつて、父に会いたい時は九段(注:戦前には靖国神社を意味した)へいらつしやい。そして心に深く念ずれば、必ずお父様のお顔がお前の心の中に浮びますよ。父はお前は幸福ものと思ひます。生まれながらにして父に生きうつしだし、他の人々も素子ちやんを見ると真久さんに会つてゐる様な気がするとよく申されてゐた。またお前の祖父様、祖母様は、お前を唯一つの希望にしてお前を可愛がつて下さるし、お母さんも亦、 御自分の全生涯をかけて只々素子の幸福をのみ念じて生き抜いて下さるのです。必ず私に万一のことがあつても親なし児などと思つてはなりません。父は常に素子の身辺を護つて居ります。優しくて人に可愛がられる人になつて下さい。
   お前が大きくなつて私の事を考へ始めた時に、この便りを読んで貰ひなさい。
   昭和十九年○月吉日 
                                           
 植村素子ヘ
   追伸、素子が生まれた時おもちやにしてゐた人形は、お父さんが頂いて自分の飛行機にお守りにして居ります。だから素子はお父さんと一緒にゐたわけです。素子が知らずにゐると困りますから教へて上げます。
                                           
ネットに出ている遺書の写真を見ると(1枚目の文章しか見ることができないのだが)、流布されている上記の文章には省略されたところがありそうである。
                                           
ネットにて、成人した素子さんが文金高島田に振袖を着て、靖国神社で奉納舞をしている写真を見ることができる。日本舞踊「桜変奏曲」だったとのこと。写真には、故植村氏の戦友たちとされる人達の姿も撮されている。
                                           
戦死者の遺族や仲間を失いながら生き残った戦友たちが、靖国神社に特別な感情を抱くのは当然であろう。生き残った元特攻隊員のなかには、「靖国で会おう」を合い言葉に出撃した仲間に対して、負い目を覚えつつ靖国神社を訪ねた人もいたようである。そのようなひとには貴重な靖国神社だが、将来においてはどうであろうか。一部の右翼主義者によって、愛国の象徴にされたり、自衛隊賛美の手段にされたりしなければよいのだが。
                                           
付記1 靖国神社について書いた本ブログの記事

付記2 本ブログに投稿した霊魂の実在に関わる主な記事


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。