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ブレーキが弱い国・・・・・・朝日新聞の記事より [政治および社会]

5月18日の朝日新聞に、「ブレーキが弱い国 戦争はいけない。臆病者で結構」なる署名記事が掲載された。筆者は編集委員の高橋純子記者である。
                                                                                                                                                 
核兵器廃絶に後ろ向きな政府に疑問を呈した後、日清戦争後の三国干渉に対応した明治時代の外相陸奥宗光に関わる次のような記事が記されている。
                                                   
 陸奥の日記「蹇蹇録(けんけんろく)」を読むと、当時の日本社会の様子が垣間見える。以下大要。
 「妥当中庸の説を唱えれば卑怯未練、愛国心がない者と見られるので声をのんで蟄息閉居するほかない」
 「国民の熱情は主観的判断のみで客観的考察を入れず、内を主として外を顧みず、進むだけで止まることを知らない」
 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、敵基地攻撃能力を持つのだ、核共有も議論しろ、防衛費を増大するぞ、憲法9条を改正すべきだなどと、勇ましい政治家がクイズ番組よろしく「早押しボタン」を連打していてやかましい。
 核の脅威が高まっているこのときに、それこそ「唯一の戦争被爆国」としてやれること、やるべきことは多々あるはずだ。なのにただ他国の不幸に便乗してひとびとの不安をあおり、進むだけで止まることを知らぬ粗雑な議論で性急に「答え」を出そうとする政治家を、私は信用しない。
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 歴史を振り返っても当世を見渡しても、この国のブレーキは大変に利きが悪い。答えを急がず、歴史を参照し、異なる意見を聞きながら迷ったり悩んだりする姿勢こそがブレーキの役割を果たす。大事が起きてもその姿勢を崩さぬ人はきっと、愚鈍な臆病者とそしりを受けるのだろう。結構毛だらけ、私はそんな臆病者として生きたい。・・・・・・・・
                                                   
安倍晋三や日本維新の会の核共有論は、ロシアによるウクライナ侵攻に乗じて提起された。狭量かつ独善的であり、正道をはずれた政治を行ってきた自民党が、それにもかかわらず、長期にわたって支持され続けている。将来に禍根を遺す虞のある日本維新の会だが、得票率を伸ばしつつある。無謀な戦争に敗れた結果、いきなり民主主義国家に生まれ変わったのだが、民主主義の土台をなすべき国民に、民主主義を支えるだけの力が備わってはいないように見える。
                                                   
これまでに、朝日新聞の記事を幾度も紹介してきたのだが、そのたびに、自民党政治に対する不満を書くことになる。朝日新聞を反日的だと責める者がいるけれども、私にはむしろ愛国的な新聞に見える。かく言う私も愛国者を自認しているのだが。


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