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西澤潤一先生の講演 [教育]

およそ30年前に、半導体分野の研究で有名な西澤潤一氏の講演を聴いたことがある。私が勤務していた大学での招待講演だった。
                                                   
休憩をはさんでなされた長い講演だったが、西澤先生は若い頃の講義を思い出させるように、大きな声で、はつらつとした言葉遣いで話し続けられた。その講演の要点を、私はなぐり書きでメモした。
                                                   
書類を整理していたらそのメモがみつかったので、あらためて読んでみた。興味深く読んだそのメモを、講演で話された順に印してみる。
                                                   
・半導体分野で韓国に追い越されたのは予想外だった。
・日本では先行者利益が得られない国である。一社でしか作っていない製品は売れない。布団乾燥機もその例である。
・レーダーの基幹技術であるマグネトロンと八木アンテナは日本人の発明だが、ものにしたのはアメリカだった。
・日本の給与は、金融・流通・物作り の順だが、この順序を変えるべきである。
・応用研究によって基礎研究が生かされ、価値を生む。
   ・トランジスタが発明された経緯
   ・ショックレイは応用研究しつつ基礎研究に貢献
・大発見と運
   ・東北大学での学生実験で見つかった異常現象が、マグネトロンの
    発明につながった
・小学生時代の長岡半太郎と本多光太郎はいずれも成績劣等生だった
・先生の影響
   ・東北大学の八木秀次教授や本多光太郎教授の門下生たちの活躍
   ・ノーベル賞受賞者のもとから、多くのノーベル賞受賞者がでているのだが、その人たちは先生の授賞前に弟子になった人たちである。
・学校の教科書に誤りが見られることがある(例;GaAs単結晶成長)
・新商品開発が成功する割合(アンケート調査の結果) 
 アメリカでは 0,6%、日本は 70%  だが、日本での成功率が高いのは、アメリカで成功したものを開発することが多いからである。真の新商品開発を目指したならば、日本での成功率は0,6%程度となる可能性あり。
・研究設備について
 他でやっていない独創的な研究を行う上で、手作りの設備が役に立つ。西澤研究室に配属された学生たちは、機器のガス配管作業も行うのだが、その経験は学生たちにも役立っている。大学院生も石英ガラスの加工などを行っている。
                                         
 
以上は、3時間に近い講演をメモしたものの前半である。講演の後半は研究に関わることが多く、ショックレイの理論の間違いを指摘されるなど、興味深く聴いたのだが、長くなるので続きは明日の記事にする。


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