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欧米の家電販売店に日本製品が並んでいた時代 [雑感]

  今から20年あまり以前のことである。フランクフルトの街を歩いていたら家電製品の店があった。そのショーウインドウには幾つものメーカーの製品が並べられていたが、いずれも日本製だった。ビルの屋上などにメーカーの広告が見られたのだが、ビクターやソニーなど日本のものが多かった。バブル経済が崩壊して間もない頃だったから、日本の家電製品にはまだ商品力があった時代である。私は初めて書いた小説「防風林の松」(本ブログの左サイドバーにて概要を紹介)(小説投稿サイトの「カクヨム」や「小説家になろう」で読むことができる)の序章に、次のような文章を記した。
  
小説「防風林の松」の序章より
     ・・・・・・・・・フランクフルトに着いたのは、学会が始まる三日前だった。その翌日には会場となる建物を訪ねて、場所の確認と会場の下調べをした。それらの用件をおえてから、時間をかけて街を歩いた。電気器具を扱う店があったので、ショーウインドウをのぞいて見ると、並べられている製品の多くは日本製だった。バブル経済が崩壊してから数年を経ても、日本の家電製品はブランドを誇示していた。・・・・・・・・
 
この序章は、主人公をかつての恋人(ロンドンに居住している)に会わせ、物語を本編へ導入するために設けた章だが、そのために、主人公をフランクフルトへ出張させることにした。小説の本筋とは関わりのないことだが、フランクフルトで眼にした光景を記して、家電王国時代の日本を書き遺したくなった次第である。
                                         
 
  2019年10月22日に投稿した「トヨタの社長がアクセラハイブリッドに試乗した結果」には、次のような文章がある。モータージャーナリスト池田直渡氏による記事を紹介したものである。
  
  ・・・・・・・・・・ハイブリッドシステムを持たないマツダは、トヨタからそれを供給してもらい、アクセラ・ハイブリッドを完成した。クルマが出来上がったところで、マツダはトヨタの技術者を招いて試乗させたという。その性能に驚いた技術者が、そのことをトヨタの社長に報告したところ、豊田章男社長自らがアクセラ・ハイブリッドの試乗に向かったという。その豊田氏に、マツダは隠すことなく技術情報を開示したという。
 豊田社長はマツダの考え方の多くに共感し、トヨタの「もっといいクルマ」作りに必要だと判断してマツダとの提携に向かい、トヨタアライアンスという大きな流れにつながっていった、と池田直渡氏は書いている。
 池田直渡氏によるその記事には、次のような文章がある。
                                         
 ・・・・・・ここがトヨタの優れたところで、「格下だから認めない」みたいなことはしない。優れているとみるや誰にでも頭を下げて教えを請う。・・・・・・・・マツダが始めた「日本車のレベルアップ運動」はトヨタに伝播(でんぱ)し、いまトヨタを経由して世界のクルマに多大な影響を与えようとしている。
                                                   
 日本の電機産業は危機的な状況にあるらしい。今はまだ、日本人の多くが家電製品を買うなら日本製と思っているようだが、これからは、中国や韓国製の家電製品の売れ行きが伸びそうに思える。トヨタとマツダが協力しているように、電機会社も互いに協力しなければ、台頭する中国や韓国の企業との競合は難しくなりそうである。日本の家電製品に押されたことにより、アメリカでは家電メーカーが衰退したのだが、日本の家電機器製造会社には、活路を見つけて生き残ってもらいたいものである。
                                                   
今日の記事に書きたかったのは、<日本の電機産業は危機的な状況にあるらしい。今はまだ、日本人の多くが家電製品を買うなら日本製と思っているようだが、これからは、中国や韓国製の家電製品の売れ行きが伸びそうに思える。トヨタとマツダが協力しているように、電機会社も互いに協力しなければ、台頭する中国や韓国の企業との競合は難しくなりそうである。日本の家電製品に押されたことにより、アメリカでは家電メーカーが衰退したのだが、日本の家電機器製造会社には、活路を見つけて生き残ってもらいたいものである。>の部分である。
                                                   
1年半前には見かけなかった中国や韓国製のテレビや洗濯機が、今では量販店に数多く並べられ、低価格ゆえにかなりの売れ行きらしい。ネット通販の価格.COMでテレビの部門を覘いてみたら、売れ行きの第2位は、ハイセンス(中国)の65インチテレビであり、最安値店の価格は、税込み送料込みで83、952円となっている。
                                                   
価格.COMでエアコンの100位までの売れ行きをみると、96位にハイセンスがあるだけで、他はすべて日本のメーカーである。とはいえ、日本メーカーのエアコンのほとんどが、中国その他の外国製であり、日本製ではない。
                                                   
電機会社は日本の経済発展の一翼を担ったのだが、その利益の多くは、既存技術の応用や改良による製品から得られた。日本の携帯電話はガラケー(ガラパゴス携帯電話)への道を辿ったわけだが、家電メーカー自体がガラパゴス化してはならない。そのために、「技術者たちが夢を抱き、執念を燃やして努力できる環境」を作ってほしいものである。
                                                    
1970年代後半に、日本には超LSI技術研究組合なる組織があった。競合する各社から集められた技術者たちが共同し、この国の半導体技術向上に多大な成果をもたらした。日本の家電メーカーが、将来も家電メーカーであり続けるためには、かつての超LSI技術研究組合のように、あるいは、トヨタとマツダが提携しているように、互いに協力し、強力な体制で臨むべきではなかろうか。
 

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