SSブログ

日本の戦争は自衛のためだった? [政治および社会]

ネットの世界を覘いてみると、「自虐史観」を責める言葉が幾らでも見つかる。日本が戦った先の戦争は、侵略戦争ではなく自衛の為の戦争だった、と主張する論考もある。
                                                   
先ごろ読んだ記事には、あの戦争はアメリカに仕掛けられたものであって自衛戦争であり、東南アジアを植民地とする欧米諸国を駆逐するための戦争でもあった、と記されていた。そのような要素は確かにあったと思われるが、日本が最悪の道を選んだことは事実である。
                                                   
アメリカから提示されたハルノートが、日本に開戦を決断させるもとになったとされるが、ハルノートに記されている重要事項のひとつは、日本軍の中国からの撤退要求である。日本はすでに莫大な戦費を費やし、20万人の戦死者を出していたために、その要求を受け入れたなら、軍部の面子をつぶすことになるため、受け入れることができなかったという。
                                                   
教師だった私の父は30代の半ばに召集されて、中国の長沙で終戦を迎えた(本ブログで父の詠んだ歌を紹介しているが、昭和19年から昭和20年の歌の多くは、出征先の中国で詠まれたものである)。長沙を地図で調べてみると、上海から900Kmも離れた奥地である。日本軍は中国軍と戦闘しつつ、広大な中国に広く展開し、その間に膨大な犠牲者を作り出した。犠牲者数は1000万人を超えるとされている。南京攻略戦での民間犠牲者を20万人とする中国の主張に対し、犠牲者数はそれよりはるかに少ないと主張し、南京での虐殺はなかったと主張する者がいる。犠牲者の具体的な数はともかく、南京で膨大な虐殺がなされたことは、日本側の資料でも明らかである。(本ブログに投稿した記事「『反日』や『自虐史観』を言い立てる者たちに読ませたい書物(2020.12.18)」参照)
                                                   
自分の父親が日中戦争に関わっておりながら、いくら調べてみても、日中戦争には分らないところが多い。日本人には侵略戦争と思えなくても、国内を戦場とされ、悲惨な体験を強いられた国の国民には、日本に侵略されたとの思いがあるにちがいない。国土を戦場にされ、悲惨な体験を強いられた中国やフィリピンなどから、あの戦争を日本の侵略戦争と指弾されても、感情的に反駁してはならないと思う。


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。