子供の学力が向上するとき [教育]
私が理系人間を自認したのは高校時代でした。小学生時代から電気に興味を抱き、中学時代には独学でラジオの勉強に励んだものです。好きなことに熱中したからでしょうか、中学1年生まで成績の悪かった私は、3年生になった頃には、むしろ成績優秀者のひとりになっていました。
高齢者の仲間に入ってからブログを開設し、その中のカテゴリーのひとつに「教育」を置きました。中学時代に急激に成績が向上した自分の体験が、読んでくださる誰かに役立つはずだ、と思ったからです。「教育カテゴリー」に投稿した記事には次のようなものがあります。
・「必要は発明の母なり」に付け加える言葉(2015年8月19日)
・成績劣等生から技術者までの道のり(2015年8月23日投稿)
・子供を学習塾に通わせるより読書の楽しみを教える方が良さそうだ(2015年9月24日)
・理系人間と文系人間(2016年7月27日)
・理系人間は頭が良いと思うのは勘違い(2016年7月28日)
・福山雅治の人生観を変えた子供の頃の体験(2016年8月31日)
・子供の心理と学校での成績(2016年12月5日)
・オードリー・ヘプバーンの心理的自画像(2017年1月3日)
・理系人間は頭が良いと思うのは勘違い(2016年7月28日)
・福山雅治の人生観を変えた子供の頃の体験(2016年8月31日)
・子供の心理と学校での成績(2016年12月5日)
・オードリー・ヘプバーンの心理的自画像(2017年1月3日)
・塾に通わせるよりも有効な学力向上対策(2017年2月2日)
・理系人間が理系の道を歩む理由(2018年8月27日)
・IQテストは受けない方がよい?(2018年11月26日)
・池上彰氏は言う「新聞を読むことは主体的にものを考えるきっかけになる」(2019年2月20日)
・哲学教育を重視するフランス(2019年4月1日)
ラジオについての独学が、私の学力向上を促したと思いますが、読書に慣れていたことも、大いに役立ったと思います。そのことを書いたのが次の記事です。
・塾に通わせるよりも有効な学力向上対策(2017年2月2日)
中学生になるまで、私は自分の成績をさほどに気にしていませんでした。戦後間もない頃であったし、偏差値教育もなされていなかった頃でした。親から責められたこともなく、周囲にも成績で悩む友達はありませんでした。ラジオの勉強に取り組むことができたのは、悪い暗示(自分は頭が悪い、自分には才能が無いなど)による催眠にかかっていなかったからでしょう。小説「防風林の松」(左のサイドバーにて概要を紹介)の99%は創作ですが、その中に、私の体験(成績劣等生からの脱却)を書き込みました。主人公が友人との会食中に交わす会話です。
小説「防風林の松」より
・・・・・・・・・・僕は自分自身の体験を語った。中学一年生まではまったくの成績劣等生だったこと。オーディオに対する興味におされて始めた電気の勉強が、僕に自信をもたらす結果になったこと。
僕の話を聞いて坂田は言った。「今の日本では、小学校や中学校で落ちこぼされたら、そこから這い上がるのに苦労するわけだが、落ちこぼされている子供の中には、お前みたいなのがたくさんいるのかも知れないぞ。先生の話をろくに聞かずに、自分が興味を持っていることだけを考え続けているような子供が。そんな子供はほんとうは普通以上に集中力があっても、勉強する気も能力もないと決めつけられるんじゃないのかな、いまのような偏差値教育の中では」
「長岡半太郎や本多光太郎も、小学校時代には勉強ができなかったそうだから、今の日本に生まれていたら、世界的な学者にはなれなかっただろうな」
「今の日本では、小学校でつまずいた子供は催眠にかかってしまって、自分には能力がないと思い込むようになると思うな。そうなると、たとえ努力をしたところで、催眠にかかっているために勉強は身につかないわけだ。お前の場合には運が良かったんだよ。オーディオ装置に興味を持ったおかげで、うまい具合に催眠から醒めることができたんだからな。電子回路を勉強したきっかけが音楽というのは、お前だけかも知れないけどな」
「詳しいんだな、教育のことに」と僕は言った。
「本を一冊読んだだけだよ。偏差値教育と詰込み教育の問題をとりあげた本を」
その言葉を聞いて、坂田はずいぶんレベルの高い読書家だと思った。僕が読むのはおもに科学雑誌や週刊誌で、教養のための書物はほとんど読まなかった。
坂田はさらに続けた。「こんなことも書いてあったな。小学校の低学年では理科好きな子供が多いのに、高学年になると理科嫌いが多くなるというんだ。好奇心を満たすことより、知識を詰め込むことが重視されたり、友達と成績を競わされたりするんだからな、そんな理科がおもしろいはずがないよ」
私の小学生時代に偏差値教育がなされていたら、私は落ちこぼれのままだった可能性があります。本ブログで幾度も、偏差値教育に対する疑問を書いてきました。つぎの記事はそのうちの2つです。
・偏差値教育の時代に大器が晩成できる可能性はあるのか(2015年10月2日)
・塾に通わせるよりも有効な学力向上対策(2017年2月2日)
2022-11-23 11:10
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