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薩長に対する会津の遺恨と日本に対する中国と韓国の遺恨 [政治および社会]

11月2日に投稿した「会津藩の後裔は言う『明治150年と言うが、こっちは戊辰150年。悲しみに暮れる150年です』」なる記事で、明治維新に対する会津藩の末裔たちの思いを書いた。


理不尽かつ不当な扱いにより、塗炭の苦しみを与えられた会津人の思いは、150年を経てもなお、その末裔たちに遺されている。本来ならば、薩長藩閥政治の名残があった戦前のうちに、薩長側から謝罪すべきだったと思うが、そのような動きはなかったらしい。それどころか、薩長史観を全国民に押しつけ続け、あげくのはてに太平洋戦争の敗北に至ったのだが、この国には未だに薩長史観の残渣が多々ありそうである。社会が激変した戦後になっても、明治維新に関わった者たちの功が賞賛されるのみで、罪の面を見ようとする人は少ないらしい。そして、会津藩の後裔たちは、150年を経た今もなお、戊辰戦争にまつわるわだかまりを抱いている。


戊辰戦争は150年前のことだが、日本が中国に軍を進めて、中国人に多大な痛苦と損害を与えたのは、まだ70年あまり前のことであり、多くの被害者がまだ存命している。その中国では、日本軍を悪役にしたテレビドラマが繰り返し放映されてきたという。朝鮮が日本の植民地から解放されてから、まだ70年あまりである。会津藩の後裔が150年前の戊辰戦争にわだかまりを抱き続けていることを思えば、中国人や朝鮮人の日本に対する感情がいかなるものか、論じるまでもなかろう。


韓国で行われた先月の国際観艦式に、海上自衛隊の護衛艦は参加しなかった。韓国側から要請があり、自衛艦旗である旭日旗の代わりに、国旗である日章旗を掲揚するよう求められたため、観艦式への参加を見送ったわけだが、日本人の中には、韓国の要求に不快感を抱く者がいたであろう。ユダヤ人がカギ十字旗に対して抱く感情ほどではなかろうと、朝鮮人は旭日旗に不快感を抱くようである。そのような朝鮮人に対して一部の日本人は反発しているが、そのような日本人も、会津藩の後裔たちの思いは理解できるはずである(薩長史観を離れて明治維新を観ることができれば)。学校教育で、第二次世界大戦までの歴史をしっかり教えてきたならば、嫌韓・嫌中感情を抱く若い世代の人口が、さほどに増えることはなかったであろう。


日本に関わる近現代史に無知な日本人の増加は、近隣諸国との関係に悪影響を及ぼすだろう。中学や高校での歴史教育では、近現代史の部分はなおざりにされてきたわけだが、安全保障の観点からも、その部分をしっかり教えるべきだろう。その方が、自民党が望む愛国心教育よりも有益に思える。


かく言う私にも、中国や韓国・朝鮮に対する不満は多く、腹立たしく思うことも少なくはない。とはいえ、それらの国と良好な関係を築くことができなかったなら、先行きに不透明感が増している世界情勢の中で、日本は困った状況に陥るかも知れない。


トランプはアメリカファーストを呼号し、アメリカ本位の政策を推し進めようとしている。そのアメリカは昔から自分本位のやり方を通してきた。自民党はそんなアメリカに固執し続けるが、その傘がいつまでも頼りになるのだろうか。

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