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日本が経済大国であり続けるためには [政治および社会]

きょう(12月12日)のダイアモンドオンラインに、「日本の国力がアジアで低下、このままでは韓国にも追い抜かれる理由」なる記事が掲載された。筆者は 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏(一橋大学や東京大学などの元教授)である。  

     

その記事は次のような文章で始まっている。


 世界経済が成長する中で、日本の生産性が低下している。このため、日本の相対的地位が低下する。
 シンガポールと香港が、1人当たりGDP(国民総生産)ですでに日本より高い値だ。近い将来に、韓国と日本の関係も逆転する。
 生産性向上の基礎となるべき高等教育の分野で、日本の落ち込みが著しい。
 経済力が落ちるから教育・研究が進まず、開発力が落ちる。そのため経済力が落ちる、という悪循環に陥っている。
 アジア諸国地域の1人当たりGDPを、日本を100とする指数で見ると、シンガポールと香港は、2000年代の初めには日本の6割程度だったが、シンガポールは00年代の中頃に日本を抜いた。現在では、日本の1.5倍を超えている。
 香港は14年に日本を抜き、現在では日本の1.2倍を超えている。ただし、どちらも都市国家(地域)であり、人口が少ないので、特殊なケースだと考えられるかもしれない。
 しかし、最近、新しい現象が生じている。それは、韓国や台湾が1人当たりGDPで日本に迫っていることだ。(図表が表示されているがここでは省略)
 ・・・・・・しかし、12年頃から、韓国の1人当たりGDPは再び日本に近づいている。18年に8割をこえた。IMF(国際通貨基金)の推計では、23年には日本の85%になる。韓国の最低賃金は、すでに日本より高くなっている。


記事には次のような文章がある。


  1人当たりGDPで、韓国は日本との差を縮めつつあるので、いずれ日本より高くなることが予想される。・・・・・・この予測は、多くの日本人が認めたくないものだろう。
  ・・・・・・日本はアジアで最初に工業化した国であり、1980年代には世界経済における地位が著しく向上した。その状況がいまでも続いていると考えている人が、日本には多い。しかし、現実の世界は、すでに大きく変わってしまっているのだ。
 韓国、台湾、シンガポール、香港は、70年代以降急速な工業化と高い経済成長率を達成した諸国・地域で、かつてはNIES(新興工業経済地域)と呼ばれた。それらの国や地域が、日本に追いつき、追い抜いていく時代になったのだ。


野口氏によれば、日本の1人当たりGDPが伸びないのは、生産性が向上しないからであるという。その原因は技術開発能力の低下にあるとして、技術開発能力の基礎となる高等教育の状況を各国と比較して、次のような記事を書いている。


 イギリスの高等教育専門誌THE(Times Higher Education)は、2019年9月、20年の「THE世界大学ランキング」を発表した。
 それによると、アジアのトップは中国の清華大学(世界23位)、第2位は北京大学(世界24位)、第3位はシンガポール国立大学(世界25位)、第4位が香港大学(世界35位)だ。やっとアジア第5位に、東京大学(世界36位)が登場する。そして、第6位の香港科学技術大学(世界第47位)、第7位の南洋理工大学(世界48位)と続く。アジアの大学で世界50位以内は、ここまでだ。日本第2位の「京都大学」は世界65位となっている。
 世界の上位200校に入る大学数は、中国が7校、韓国が6校、香港が5校、シンガポールが2校となっている。それに対して、日本は、東京大学と京都大学の2校のみだ。このように、大学の実力は、すでに、中国、韓国、香港、シンガポールに追い抜かれている。
 先端的な分野について見ると、日本の立ち後れは、さらに顕著だ。
 コンピュータサイエンスの大学院について、U.S. News & World Report誌がランキングを作成している(Best Global Universities for Computer Science)。それによると、世界第1位は清華大学だ。以下、第2位が南洋理工大学、第4位がシンガポール国立大学、第6位が東南大学(Southeast University)、第7位が上海交通大学、第8位が華中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)となっている。
 このように、アジアの大学院が、世界トップ10位のうち6校も占めているのだ。ところが、それらはすべて中国とシンガポールの大学である。日本のトップは東京大学だが、世界のランキングは134位だ。まるで比較にならない状態だ。


野口氏の指摘に頷けるところはあるが、日本が停滞しているさらに大きな原因は、日本を覆っている沈滞ムードではなかろうか。若い世代が夢と希望を抱けるような、そして将来に明るい展望をもてるような社会にすれば、そして、信頼できる政治が行われるようになれば、社会に活力が戻ってくるのではなかろうか。日本を沈滞感におおわれた国にした自民党を、政権の座から追い出したいものである。


野口氏の記事はさらに続いているので、明日以降のブログで紹介したいと思う。


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