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「きけわだつみの声の像(わだつみ像)」が伝えること [雑感]

7月5日の投稿記事「若い世代に読んでもらいたい「きけわだつみのこえ」」に関連する記事です。
                                                   
立命館大学に設置されている「わだつみ像」は、 立命館学園の教学理念「平和と民主主義」の象徴だという。東大に設置すべく計画されながら許可されず、立命館大学に設置されたようである。立命館大学のサイト史資料センターには、そこに至る経緯が記されている。
                                                   
わだつみ像の除幕式が挙行されたのは、1953年(昭和28年)12月8日で、学生の代表によって「不戦の誓い」が宣言されたという。
                                          
                     
「不戦の誓い」
                                                   
わだつみ像よ
かつて私たちの先輩は、愛する人々から引きさかれ偽りの祖国の光栄の名の下に、或いは南海の孤島に、或いは大陸の荒野に空しい屍をさらしました。その悲しみのかたみであるあなたの前に私たちは誓います。再び銃をとらず、再び戦いの庭に立たぬことを。
                                                   
わだつみ像よ
かつて私たちの先輩は、何の憎しみももたぬ他国の青年と偽りのアジア平和の名の下に、愚かな殺し合いの中で尊い血を流しました。その嘆きのかたみであるあなたの前に私達は誓います。再び他国の青年と戦わず、共に組んで世界の平和を守りぬくことを。
                                                   
わだつみ像よ
かつて私たちの先輩は、魂のふるさとである学園で考える自由も学ぶ権利も奪われ、なつかしい校門から戦場へ送り出されました。その苦しみのかたみであるあなたの前に私たちは誓います。学問の自由と学園の民主々義の旗を最後まで高く高く掲げることを。
  一九五三年十二月八日
                                                   
わだつみ像が設置された1953年(昭和28年)は、戦争が終わって8年が経った時期だから、国民の間には、愚かな戦争への悔恨と戦争を憎む感情が満ちていたはずである。「不戦の誓い」の文言に、その感情が示されている。「偽りの祖国の光栄の名の下に」「偽りのアジア平和の名の下に」「私たちは誓います。再び銃をとらず、再び戦いの庭に立たぬことを」「私達は誓います。再び他国の青年と戦わず、共に組んで世界の平和を守りぬくことを」「私たちは誓います。学問の自由と学園の民主々義の旗を最後まで高く高く掲げることを」
                                                   
除幕式で不戦の誓いを読んだ学生の気持ちが伝わるのだろうか、「わだつみ像」を眺める今の学生たちに。
                                         
憲法改正論者は言う「現憲法はアメリカに押しつけられたものである」と。憲法改正の核心は9条だが、その条項を発想して盛り込んだのは日本(幣原喜重郎内閣)だった。戦後間もないその頃、戦後の政治を担うことになった政治家たちは、あの戦争を悔い、戦争を憎む感情を強く抱いていたはずである。時代の推移に伴い、必要であれば憲法も改正されてしかるべきだが、戦争を憎む憲法であり続けてほしいものである。

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