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哲学教育を重視するフランス [教育]

朝日新聞の1面に、哲学者鷲田清一氏による「折々のことば」なる欄があり、毎日掲載されている。3月21日に掲載されたのは、フランスの大学入学資格試験問題に関する記事である。それをここに引用させてもらうことにした。日本の高校教育でも、政治や哲学を重視してもらいたいものである。


朝日新聞の「折々のことば」(3月21日)より引用


「自分の権利を擁護することは、自分の利益を擁護することだろうか?」「自分自身の文化から自由になれるだろうか?」・・・・・・・・フランスの大学入学資格試験問題

フランスの知人に、貴国ではなぜ高校で哲学教育を重視するのかと質問したら、「例えば公務員。誰もが幸福に暮らせる社会をめざす者が、幸福の何たるかを考えたことがなければどうなる」との当然すぎる返答。ちなみに2017年の記述式問題は右(本文では上記)のごとし。しかもこれ、理系の問題。哲学研究者、坂本尚志の『バカロレア幸福論』から。(引用おわり)


日本の高級官僚と呼ばれる者には東京大学出身者が多い。東大の入試に合格したのは、難しい問題(難しい問題であろうと、正解があることがあらかじめわかっている)の正解を見いだす能力にたけた者たちである。そのような東大出身の官僚たちのどれだけが、「誰もが幸福に暮らせる社会をめざすべき者」として、「幸福の何たるかを」真に考えているのだろうか。社会に貢献するためというより、自分が将来に得るであろう利益のために、東大を目指す者も多いと思われるのだが、そうであろうと、官僚となったからには国民のために働いてもらいたいものである。


日本の中央官庁は、省益あって国益なしと揶揄されてきた。モリトモ・カケ問題の醜態を思うと、安倍政権が長く続いているうちに、「高級官僚」の中には、自らの利益のために政権に寄り添う者がでてきたようである。


2020年度(令和2年度)からは大学入試制度が変わることになっている。今までの大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」では、これまでの試験が記憶重視だったのに対して、考える能力も試されるという。それによって、学生たちの学び方と考え方に好ましい影響があればよいのだが。フランスでは理系学部の入試に、「自分の権利を擁護することは、自分の利益を擁護することだろうか?」「自分自身の文化から自由になれるだろうか?」 なる問題が出されたという。官僚や政治家などを目指す日本の受験生たちが、このような問題に向き合って入学する時代になれば、将来展望が明るくなりそうな気がするのだが、政治や経済に関わる学部であっても、このような設問はなされないような気がする。


高校で哲学教育を重視する理由を問われたフランス人は答えたという、「例えば公務員。誰もが幸福に暮らせる社会をめざす者が、幸福の何たるかを考えたことがなければどうなる」と。学校教育で重視すべき事柄は多々あるわけだが、政治や哲学に関わる教育も、もう少し取り入れてほしいものである。 

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