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日本の幸福度ランキングが向上するとき [政治および社会]

このブログ内を検索してみたら、「幸福度ランキング」なる言葉がでてくる記事は12回も投稿されており、幸福度の改善に関わる記事は7回投稿されている。日本を覆う空気がさわやかになり、未来に対して明るい展望が開けるよう願って書いてきたのだが、日本の幸福度ランキングが高くなるまで、いつまで待てばよいのだろうか。まともな政治家が勇気をもってまともな政治を行うならば、さほどに遠くはない時代に、その兆しが表れるだろう、と思いたのだが。


企業は利益にのみ眼を向け、内部留保を積み上げていながら、労働分配率を改善しようとしない。働く者の40%が非正規労働者だという。このままではいつまでも、幸福度ランキングの最低レベル状態が続くだろう。


そんな状況にありながらも、先の選挙では相変わらず棄権が多く、自民党の勝利に終わる結果になった。まだかなり先にはなりそうだが、政権がときおり交代するような時代になれば、まともな政治が行われるようになり、幸福度ランキングの上昇も期待できるであろう。


本ブログで最初に「幸福度ランキング」を取り上げたのは、2017年3月31日に投稿した記事「日本の幸福度ランキングをあげる政策」である。そこでは、慶応大学教授小熊英二氏の提唱になる、幸福度ランキング向上策を紹介している。その記事を、そのままここに再掲することにした。


日本の幸福度ランキングをあげる政策 [政治および社会] (2017年3月31日に投稿した記事「日本の幸福度ランキングをあげる政策」の再掲)


昨日(2017年3月30日)の朝日新聞朝刊の論壇時評に、「労働を買いたたかない国へ」なるタイトルの記事が載っている。筆者は歴史社会学者とされる慶応大学教授の小熊英二氏である。

その記事はこのような文章で始まっている。
 《3月20日、国連の幸福度調査ランキングが発表された。日本は155カ国中の51位で、先進国最低のレベルだ。(注)

  確かに日本の社会は問題が山積みだ。経済は停滞し、長時間労働は蔓延し、格差は激しく、少子化も著しい。
  さてそこで今回は、思考実験をしてみたい。山積する問題を、まとめて解決する政策を考えてみた。
  その政策とは、時間給の最低賃金を、正社員の給与水準以上にすることだ。なお派遣や委託その他の、いわゆる「非正規」の働き方への対価も同じように引き上げる。
  ただしこれは、「貧困層の救済」が目的ではない。日本社会を縛っている固定観念を変えることが目的だ。
 「正社員より高いなんて」と思うかもしれない。だが仕事内容が同じなら、正社員の方が高い根拠はない。むしろ非正規は、社会保障や雇用安定の恩恵(コスト)がない場合が多いから、そのぶん高くていいという考え方をしてみよう。
 「非正規の方が高い国などない」という意見もあろう。 しかし日本型の正社員そのものが独特なのだから、改善の仕方も独自の形で思考実験してみよう。》(引用おわり)

上記の文章に続いて、政策に関わる思考実験とその結果が記されている。その結果は、日本社会が労働を湯水のように安価に使い、人間の尊厳を軽んじていることが、停滞と閉塞感の根底にあることを示しており、最低賃金を大幅に引き上げるだけでも、日本社会が大きく変わることがわかるという。

「労働を買いたたかない国へ」なるその記事は、次の文章で締めくくられている。

 《あえて言おう。フルタイムで働いても尊厳ある生活ができないレベルの対価で人間の労働が買われている状態は、人権侵害である。人間が尊重されない社会では、経済も成長しない。
   日本はこの25年、「黙々と我慢して働けば成長する」という過去の観念に縛られてきた。だがもはや、そうした固定観念の束縛から逃れるべきだ。》

小熊氏によるこの記事に共感する人は多いに違いない。というより、以前からこのように考えていた人も多いはずである。小熊氏はこの思考実験により、多くの人が直感的に感じ取っているであろうことを、分かりやすい形にして示そうとしたのではなかろうか。

民主党政権が目指した「コンクリートから人へ」なる政策を、小熊教授の思考実験の方向へ発展させていたなら、そして民主党政権が継続していたなら、どんな日本になったことだろう、と空想してみる。民進党の現状を思えば、それが空想でしかないように、自民党に期待できないことは現実であり、自民党政治のもとでの閉塞感が続きそうである。とはいえ、小熊教授の考え方が広く知られたならば、国民の間に新たな動きが起こる可能性はある。そうなることを期待し、そうなるよう願っている。

朝日新聞は図書館でも読めるので、購読していない人にも、上記の記事「労働を買いたたかない国へ」を読んでもらいたいと思う。

(注)
3月30日付ハフィントンポスト日本版の記事「世界幸福度ランキング2017発表、日本の順位は?」より、その冒頭部分を以下に引用 (この文章に続いて順位表が表示されている。日本の順位は先進国の中では最低レベルとされている。) 

  国連は「世界幸福デー」に定めている3月20日、世界の155カ国を対象にした幸福度ランキングを発表した。2017年のランキングで、最も幸せな国とされたのはノルウェーだった。日本は51位で、2016年の53位から順位を2つあげた。
  一方、最も幸せではない国は中央アフリカだった。
  国連のランキングでは、調査対象にする国の国民の自由度や、1人あたりの国内総生産(GDP)、政治、社会福祉の制度などを元に2014〜2016年の「幸福度」を数値化し、ランク付けしている
  上位5カ国のうち4カ国を北欧が占めた。報告書では「上位4カ国は、国民の自由度、政治など幸福に関係する主要なファクターの全てで高評価を獲得した」と指摘されている。(以下略)                                                                         (再掲記事おわり)


小熊氏の思考実験によれば、日本社会が労働を湯水のように安価に使い、人間の尊厳を軽んじていることが、停滞と閉塞感の根底にあることを示しており、最低賃金を大幅に引き上げるだけでも、日本社会が大きく変わることがわかるという。


まともな政治家が勇気を持って、そのような政策を実行するならば、閉塞感に覆われた日本に明るさが見え、将来に希望の持てる社会になるだろう。圧倒的に力を有する自民党がそれを実行出来ればよいのだが、今の自民党には期待できそうにないので、野党が自民党と対等に渡り合える時を待つしかなさそうだ。


小熊氏は言う、「日本はこの25年、黙々と我慢して働けば成長するという過去の観念に縛られてきた。だがもはや、そうした固定観念の束縛から逃れるべきだ。」と。国民の多くが固定観念の束縛から逃れて、政治に積極的に関わり、この国をより良くすべく動くよう願っている。

 



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