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東京大空襲を歴史の彼方に押しやらないために [雑感]

昭和20年3月10日は、アメリカによる東京の無差別大空襲が行われた日であり、3月11日の東北大震災とともに歴史に刻まれる日である。一夜にして、広島や長崎の原爆を上回る犠牲者を出した日であり、歴史的な大虐殺が行われた日である。


日本の都市に対する無差別爆撃を主導したカーチス・ルメイ将軍に、佐藤栄作首相は勲一等旭日大綬章を贈った。航空自衛隊の育成に協力してくれたのが理由というが、人道に対する犯罪者への授章と言うべきだろう。


3月10日の朝日新聞の投稿欄「声」には、その大空襲の被災者である作家の早乙女勝元氏が、毎年のように投稿していたのだが、今年は投稿されなかったようである。例年通りなら複数の投稿があるはずだが、今年の「声」に掲載されたのは、86歳の主婦による「父失い母は苦労 東京大空襲」だけである。その記事は「あの3月10日から75年経ちました。私にとって一生忘れられない日です」と書き始められている。


その空襲で父親を失った家族は生活に苦しみ、一家心中を考えるほどに追い詰められたという。投稿記事はこのような文章で終わっている。「母の死後、東京大空襲の慰霊祭に一緒に参加した兄も今は亡くなり、私もいつまで行けるか。この思いを子供や孫たちにさせてはなりません。今の世を思う時、この年寄りでもなんとかできないかと思います。」


あの戦争で苦しんだ人は、20年先にはほとんどいないはずである。戦争の悲劇を繰り返さないために、戦争で苦しみ、戦争を憎んだ人の思いを遺さねばならない。そのように考えて本ブログに投稿した記事が、「戦争を憎む感情を失いつつある日本人(2019-09-16)」である。その記事の付記に記した「戦争犠牲者の追悼について……慰霊碑・記念碑・そして祈念碑」を、少しでも多くの人に読んでもらえるよう願っている。

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